小説(幻想モノ)

2024/09/05

昼行燈118「夢魔との戯れ」

  「夢魔との戯れ

 夢魔擬きの妄想…寝入るまでの迷想:夜の底深い。深みの際に達したなら浮上あるのみか。そのはず。泥濘をノタノタと這っているうち気が付いたら、視界が開けてきて、息苦しささえいつしか忘れ去っている。浮かび上がるために踠いたりはしない。何をしたって無駄。悪足掻きはしないことだ。藻に絡まれクラゲにチクリとされ、イソギンチャクになぶられる。何故かマリンスノーまで深海から舞い上がってきやがる! 

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2024/07/19

昼行燈101「単細胞の海」

Kikuji   「単細胞の海へ

 夢の中に居るに違いない!
 願望なのか悲鳴なのか分からない、声にならない声が喉元に蟠っていた。溜まって腫れあがった浮腫が破裂しそう。膿なのか叫びか喚きの渦が噴出する裂け目を見出せずにいる。

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2024/07/09

昼行燈96「夜は白みゆくのみ」

53669632_2148027475_227large   「夜は白みゆくのみ

 この部屋を出たかった。出ないことには息が詰まって死んでしまう。
 今度こそ、この部屋を出る! そう決断したことは何度あることか。
 けれど、いざとなると、決心が鈍ってしまう。

 何かが引き止めるのだ。

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2024/07/05

昼行燈95「海月」

Kurage   「海月

 脳味噌がブヨブヨ脳漿の海に浮かんでる。まるでゼリーだ。それどころかクラゲだ。
 クラゲ…水母…海月…闇の海に漂うコンニャク…クラゲなし漂える海の雲…

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2024/07/01

昼行燈93「ハートの風船」

Banksy   「ハートの風船

 庭木の手入れをしていた。外仕事するには絶好の天気で、やるっきゃないと、張り切っていた。
 明日はもう、師走である。が、寒波の襲来の前の、そう、それこそ嵐の前の静けさといった、麗らかな陽気。ほとんど夏場と同じ薄着で作業する。が、案の定だが、三十分も体を動かしたら、体は火照ってきて、汗ばんできた。

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2024/03/01

昼行燈75「首を振って悪夢を振り切る」

Shuro_20240301023901  首を振って悪夢を振り切る

 

 富山なのか東京(新宿)なのか。ある場所で老婦人に声を掛けられる。私はタクシードライバー?  何処かへ連れていってと。ご婦人の言うままに走らせていくと、未開発、手付かずの、広い、見知らぬ場所へ。
 そこでようやく、婦人は行く先を告げる。済生会病院。正午までに。まだ時間はあるけど、ギリギリ。最初に言ってくれれば楽勝で間に合っていたのに。文句を言っても仕方がない。おおよその方角は分かるが、茫漠とした土地には道がない。彼女を連れ、道を探す。

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2024/02/25

昼行燈73「化粧」

Konao  「化粧

 薄紅を引き、頬紅を差し、鼻筋を通らせ、眉毛の形や濃さ・長さそして曲線を按配する。項(うなじ)にもおしろいを塗ることで、後ろから眺められる自分を意識する。髪型や衣服、靴、アクセサリー、さらには化粧品などで多彩な可能性を探る。
 見る自分が見られる自分になる。

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2023/12/12

昼行燈47「ふわふわ ふわふわ」

Nisseki 「ふわふわ ふわふわ

 

 中空に漂っている。地に足がついてない。
 ふわふわ ふわふわ。
 何処へ行く? 何処から来た? 何処にいる?

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2023/09/19

昼行燈3

Suzume_20230919234301

 吹雪いていた。家の中にいるはずなのに猛吹雪だ。雪の粉が顔面に叩く。冷たい! 氷の礫。
 が、何故かまるで痛くない。冷たくもない。まして寒くなんかない。まるで浮き粉だ。それとも小麦粉なのか。微かに香りさえ漂ってくる。表面の光沢が反射し合って眩しいほどだ。

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2023/09/14

昼行燈

 まっさらな空間。何もない? 茫漠たる気分。浮いてる? 漂ってる? 何処に? 掴みどころのない時空。何もないというのは本当? なのに体は火照っている。火照るどころじゃない、燃えるようだ。鉛のように凝り固まっているのに、熱いのは何故だ? 削れば金属の粉がボロボロ零れるに違いない。

 

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