初夢
オレは戸惑っていた。
女はいきなりオレの家にやってきて、絵のモデルになると言い張るのだ。
女はとんでもない勘違いをしているに違いない。
勘違いの発端は、吹く風に夏も終わりに近付いていることを予感させる或る日、近所のカフェでのこと。
週日の午後で、客はオレだけ。前の日も画集を見ながらヌード画を描いていた。
我ながら上出来だったこともあり、つい、誰かに見てもらいたくなり、店が暇そうな時間帯を狙って、近所のカフェへ繰り出した。
案の定、暇そうな主人は、グラスなどを白い布で拭っている。
要するに何もすることがないのだ。
チャンスだ。
カウンター席に座り、オレは徐(おもむろ)にデザイン帳をカウンターに置いた。
主人はオレの何気なさそうな表情に隠された…あからさまなサインを見逃すはずがない。
昨日もヌード、画いてたの?
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