心と体

2023/12/08

昼行燈46「土の精」

Kanan_20231208021601  「土の精

 

大地を寝床に夢を紡ぎ、
大地が私を褥(しとね)に愛を営む。

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2023/12/07

昼行燈45「浮かび上がらせてやりたい」

Amaoto浮かび上がらせてやりたい

 

 今日は昨夜来の冷たい雨が終日、続いた。
 今、夕餉のときを終えたけれど、雨はまだまだ降り続きそう。

 雨が庇を、木立の葉っぱを叩く音。
 時折通り過ぎる車が水を撥ねていく。

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2023/12/04

昼行燈44「止まっちゃいけない」

Jinzhashi  「止まっちゃいけない

 ある秋口の早朝だった。いつもなら起こされるはずが、なぜか目覚めてしまった。それとも眠れない夜を明かしただけだったのか。
 行かなくちゃいけない。何処へ?
 逢わなくちゃいけない。誰に?
 晴れ渡った秋空だった。行先は分からない。足に任せるしかない。気の向くままってことじゃない。行方は決まっているのだ。

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2023/12/03

昼行燈43「お地蔵さんは黙っている」

Jizo 「お地蔵さんは黙っている

 

 なんだかもう、全てがグジャグジャになった気がする。
 泥濘(ぬかるみ)の続く道を何処までも歩いている。
 ずぼっと深みに嵌まってはよろめく。
 いつからこんな道なき道に迷い込んだのか、さっぱり分からない。

 こんなはずじゃなかった。
 でも、どんなふうであったのか、あったなら少しは満足するか分からない。

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2023/11/29

昼行燈(番外2「音という奇跡」)

Takemitu   「音という奇跡

 森の奥の人跡未踏の地にも雨が降る。誰も見たことのない雨。流されなかった涙のような雨滴。誰の肩にも触れることのない雨の雫。雨滴の一粒一粒に宇宙が見える。誰も見ていなくても、透明な雫には宇宙が映っている。数千年の時を超えて生き延びてきた木々の森。その木の肌に、いつか耳を押し当ててみたい。

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2023/11/28

昼行燈42「無間 」

Gaito無間

 夢の中にいるはずだった。なぜなら宇宙空間をゆらゆら漂っているのだから。ん? ゆらゆら? そんな呑気で居ていいのか?

 何処までも落ちていく…それとも際限もない上昇なのか。右も左も、上も下もない。グルグル回っている。メニエル病の日々の再現。あれ以上の猛烈な遠心力が脳味噌の神経細胞の一つ一つを引き裂いている。グリア細胞までが星屑にならんとしている。凍てつくという表現が可笑しいほどに懐かしい。

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2023/11/27

昼行燈41「 ダストシュート」

Husen  「ダストシュート


 奴は蛇の目をしていた。間違いなく、奴は爬虫類だ。冷血動物だ。いや、動物に熱い血が流れるというイメージがあるなら、興味ある対象に向かっていくのが動物というのなら、そもそも、外界に興味あるものがあるというのなら、奴は、動物ですらない。
 といって、奴が植物というわけでもない。

 奴は、大地とは何のつながりもない。根無し草ですらないのだ。

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2023/11/23

昼行燈40「縫合」

Rengoku   「縫合

 眠れない夜を潜り抜けた。眠気はある。睡魔は襲ってくる。矢継ぎ早に繰り出す焔の切っ先。
 炙り出されて部屋を飛び出した。胸がむかむかする。乾麺が胃の腑で縺れてる。
 逢わなきゃならない。切迫する思いが滾る胆汁で味付けされていた。

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2023/11/22

昼行燈39「 廃墟」

City_20231123034601  「廃墟

 

 寝苦しい夜だった。長い長い夜の果ての、遠い幽冥の境にいた。まるで、中東の戦闘の地を潜り抜けてきたような気分だった。
 しかも、オレは、加害者だ。空襲する側に立っている。絶対、安全な場所にいて、ボタン一つを軽く押すだけ。
 すると、目の前の液晶モニターに、綺麗な軌跡が緩やかな曲線を描いていき、ターゲットに当たると、一瞬、青白い閃光が煌くと、すぐに真っ暗闇の画面に戻る。
 それだけのことだ。ここにいるオレは、鼓動が早まることもない。

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2023/11/20

昼行燈38「軽石」

Karuisi   「軽石

 行く当てなどなかった。あてどなくふらついていた。何かを探し求めていたと思いたかった。真っ昼間の空は空白の原稿用紙のようだった。今どき原稿用紙なんて言葉が出てくるなんて。
 何かを拾い集めたかった。やたらとそんな衝動が沸き立っていた。だからってなんで河原なんかに来たんだろう。河原で石ころでも拾う?
 遠い昔、石けりやら石で水切りなんて他愛のない遊びに興じていたことが思い出される。
 今はただ拾いたい。石の手応えを手の平に感じたかったのだろうか。

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