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2024/10/07

昼行燈122「夢…それとも蝋燭の焔」

Rousoku  「夢…それとも蝋燭の焔

 夢……いつも観る夢は同じようなテーマを繰り返し……何処とは分からない茫漠たる空間。白いというより白けた空っぽの視界。何もかもか見えるのだが、その実何も眼中にない。虚ろ。ガラーン。

 廃墟と化した伽藍堂に一人迷い混んだ。真昼の小学校の校庭。コンクリートブロックのプールの壁で一人ボールを投げて遊ぶ。弾ける音が土の校庭に白々しく響き渡る。跳ね返って来るボール。そうだ、相手をしてくれるのは壁とボール。

 日曜日なのかな? 先生は誰もいない? 友達は尚更いない。

 会う相手はいない。誰一人思い浮かばない。みんなそれぞれ忙しいのだろう。何か用事を作ろうかな。何がいいかな。やはり、一人キャッチボールか。それとも川まで行って水切りかな。一人缶蹴りも楽しそう。

 一番好きなのは藪の中だ。散々歩き回って、気が付いたら何処にいるのか分からなくなって、出口なんて分からなくって途方に暮れて…ホントに日が暮れて途方に暮れて。

 空っぽだ。吐きたいほと空っぽ。叫んでみたって木霊は還らない。木魂のはずの空気の揺らぎは谺となり頭の周囲をグルグル巡って、仕舞いには脳味噌が焼け付いたのか焦げ臭くなったりして。

 夕焼けのはずの空が頭の天辺で火の竜巻になって竜になって舞い上がっていく…と云いつつ、何のことはない、ただの蠟燭の焔に過ぎない。ああ、谺を期待したのが生意気だったのか。谷に牙する…なんて僭越至極だとでも?

 ただただ何処かへ連れ去ってほしいと心の底から願う。あるのは、空と夢。どちらも空っぽなんだ。 

 

(10/07 03:01原文 10/07 12:31手直し 読書の合間に読書メーターにてちょっと創作。拙稿「バシュラール…物質的想像力の魔」参照)

 

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