« 2024年1月 | トップページ | 2024年3月 »

2024/02/27

昼行燈74「負け犬の遠吠え」

Madoakari  「負け犬の遠吠え

 物質とは、究極の心なのだと今は考えている。別に根拠はない。直感的なものに過ぎない。
 心というものがあって、肉体にも物質にも経済にも制度にも世界の終わりにも関わらず永遠に存在する……。それは魂という呼び方しか出来ない何ものか。

 

続きを読む "昼行燈74「負け犬の遠吠え」"

| | コメント (0)

2024/02/25

昼行燈73「化粧」

Konao  「化粧

 薄紅を引き、頬紅を差し、鼻筋を通らせ、眉毛の形や濃さ・長さそして曲線を按配する。項(うなじ)にもおしろいを塗ることで、後ろから眺められる自分を意識する。髪型や衣服、靴、アクセサリー、さらには化粧品などで多彩な可能性を探る。
 見る自分が見られる自分になる。

続きを読む "昼行燈73「化粧」"

| | コメント (0)

2024/02/20

昼行燈72「四次元の世界旅へ」

Reiiji  「四次元の世界旅へ

 やたらと曲がりくねった路地だった。おや? 天井らしき蓋が覆っている…。
 路地に迷い込んだんじゃなく、何処かの廃墟…ビルの中なのか。階段は上にも下にも続いている。踊り場らしき狭い床に居るようだ。
 時計とは逆方向に螺旋を描く階段。昇るたびに踊り場には半端に締まった扉が目につく。扉を潜って闇の向こう側へ忍び込むべきか。

続きを読む "昼行燈72「四次元の世界旅へ」"

| | コメント (0)

2024/02/19

昼行燈71「戻る場所はいつも…」

Kisibe_20240220063401 戻る場所はいつも…

…どこを彷徨っていたのか、気が付けば茫漠たる広がりの真っただ中に居た。風…雨…自然の欠片も感じられない。空虚過ぎて光だけが遥かな時空の地平の一点から伸び広がり、私を圧倒していた。眩さが私を焼き焦がしそうで、何もない空間にたった独り放り出された私を孤独に慰撫される暇さえ与えてくれない。

続きを読む "昼行燈71「戻る場所はいつも…」"

| | コメント (0)

2024/02/16

昼行燈70「ハンカチが七枚」

Mezara   「ハンカチが七枚

 どこぞの宿に紛れ込んでいた。それともアパートか。俺の新居なのか。やけに閑散としてる。部屋がいくつもあるのに、荷物が何もないからか。荷物どころか家具がまるでない。
 そりゃそうだ。引っ越してきたばかりなんだもの。
 何故かトイレにいる。尿意だ。切迫してる。戸を何枚も開けて、ようやくそれらしい部屋に。壁も床も真っ白で清潔感が漲ってる。広い。六畳は優にある。落ち着かないぞ。

 

続きを読む "昼行燈70「ハンカチが七枚」"

| | コメント (0)

2024/02/12

昼行燈69「俺は終わっちゃいないんだ!」

Tuta_20240212034001 「俺は終わっちゃいないんだ!

 都会の喧騒の中をまるで自分一人であるかのように歩き過ぎる。誰とも擦れ違わない。目線も合わない。目は泳いでいる。何処を観ているのか自分でも分からない。
 怯えている? 何に? 逃げている? 何から? 何処へ?
 買ったばかりのスニーカー。疲れ知らずが謳い文句だったのに、履いた途端に浮遊感を覚えた。というか何だか路面に吸い込まれるような、融け去っていくような不安感だ。
 この得体の知れないお仕着せの違和感は何なのだ?

続きを読む "昼行燈69「俺は終わっちゃいないんだ!」"

| | コメント (0)

昼行燈68「喧騒のあとで」

Kisibe 「喧騒のあとで

 夜をなんとか遣り過して、気が付くと、紺碧の空にやや透明感のある、何かを予感させるような青みが最初は微かに、やがては紛れもなく輝き始めてくる。

 理屈の上では、太陽が昇ってくるから、陽光が次第に地上の世界に満ちてくる からに過ぎな いのだろうが、でも、天空をじっと眺めていると、夜の底にじんわ りと朧な光が滲み出てくる ような、底知れず深く巨大な湖の底に夜の間は眠り続 けていた無数のダイヤモンドダストたち が目を覚まし踊り始めるような、得も知 れない感覚が襲ってくる。

続きを読む "昼行燈68「喧騒のあとで」"

| | コメント (0)

2024/02/11

昼行燈67「真冬の月と物質的恍惚と」

Ga 「真冬の月と物質的恍惚と

 真冬の月というのは、何か凄まじいものを感じさせる。空気が澄んでいるせいか、地上の全てが輪郭も鮮やかに浮き彫りにされてしまう。
 未明の頃に、人気もない公園の脇に車を止めて、月の影を求める。月の大きさなど、いつもそれほど変わらないはずなのに、目に痛いほどに輝いていて、大きさの感覚を微妙に狂わせてしまう。

続きを読む "昼行燈67「真冬の月と物質的恍惚と」"

| | コメント (0)

2024/02/07

昼行燈66「鬼哭啾愀」

Kikotu  「鬼哭啾愀

 暗幕の陰で骸骨が躍っている。
 裸だからか、滑稽で惨めな姿。淋し過ぎる。隠しようがない。せめて浴衣でも羽織って、風流を気取ればいいのに、輝く骨身を自慢したいのか、コツコツ音を鳴らせながら、誰も見ていないことをいいことに、踊り狂っている。
 狂っているだけなのかもしれない。それとも快哉を叫んでるのか。

続きを読む "昼行燈66「鬼哭啾愀」"

| | コメント (0)

« 2024年1月 | トップページ | 2024年3月 »