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2023/12/31

昼行燈52「酔 漢 賦(県名篇)」

Nihon酔 漢 賦(県名篇)」 

 大分(おー痛)、愛知(あーいち)、お長野(腹の)調子がおかしい。お神奈川(お腹が)島根(締まんねえ)。北海道(ホッカイロ)ねえかな。 秋田(あ、来た)! 大阪(お、魚)、沖縄(大きなー)。青森(あ、大盛り)! 愛媛(えー締め)具合じゃ、熊本(喰う? ま、もっと)って、あんまり喰い石川を(意地を)張りすぎたか。
 福井(覆水)盆に帰らずだね。

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2023/12/27

昼行燈51「蛸と海女」

Ama  「蛸と海女

 12歳の夏の夜明けのことだった。夢見心地だった。それとも夢そのものだったのか。そこではタガが外れていて、自由奔放に振舞えた。俺は宇宙に偏在していた。我が腕は銀河の渦巻きの腕だった。目覚めた瞬間、遠い昔、自分が蛸だったことを不意に思い出した。
 いや蛸に成り損なった悔しい思い出が蘇った。

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昼行燈50「刀葉林の夢」

Toyorin刀葉林の夢

 

  ガキの頃とて、誰かに見せられた絵図の印象は鮮明であり、強烈だったようである。どんな昔話や童話よりも。曼荼羅画の説明などは右の耳から左へ抜け去ってしまっていたはずだが。
 小学校に上がる前の一時期、夜毎、地獄の世界を彷徨っていた。曼荼羅画に垣間見た世界は自分がまさに今、日々体験している世界そのものじゃないか…。

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2023/12/18

昼行燈49「雪蛍の舞った頃」

Yuki_20231218052601雪蛍の舞った頃


 窓外の雪を見ていると、何か胸が締め付けられるような、自分がここにいるべきじゃなくて、何処か他にもっと自分がいるべき場所があり、そこで誰かが俺を呼んでいる…といったような、郷愁とも違う、不思議な感傷に囚われるものである。

 私が未だ郷里である富山で住み暮らしていた頃は、まだ雪も毎年、たっぷり降ったものだった。だから、3月になっても、さすがに降雪の日は少ないとしても、根雪は深く固く大地を覆っていた。

 

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昼行燈48「真冬の明け初めの小さな旅」

Gosetu真冬の明け初めの小さな旅

 正確な年限などは覚えていないけれど、子供の頃、雪明りの外を歩いて回るのが好きで、よく未明の朝などにこっそり家を抜け出したものだった。
 その頃はまだ雪がタップリ降っていた。平野(田圃)の片隅に位置する我が家だったけれど、ともすると一階の窓からは降り積もる雪に視界が遮られて何も見えなかったりする。

 降る雪だけではなかった。

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2023/12/12

昼行燈47「ふわふわ ふわふわ」

Nisseki 「ふわふわ ふわふわ

 

 中空に漂っている。地に足がついてない。
 ふわふわ ふわふわ。
 何処へ行く? 何処から来た? 何処にいる?

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昼行燈(番外3「葬送のこと」)

Funeral_20231212021701   「葬送のこと

(前略)宇宙から見たら、海だろうが空だろうが土だろうが、大した違いなどないということも事実に思える。それだったら、どうせ遺骸は火葬されるのだし、遺骨が空葬されようがどうしようが関係ないということでもあるのかもしれない。
 それとも、遺骨などではなく、DNAを遺しておこうか…デジタルで。

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2023/12/08

昼行燈46「土の精」

Kanan_20231208021601  「土の精

 

大地を寝床に夢を紡ぎ、
大地が私を褥(しとね)に愛を営む。

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2023/12/07

昼行燈45「浮かび上がらせてやりたい」

Amaoto浮かび上がらせてやりたい

 

 今日は昨夜来の冷たい雨が終日、続いた。
 今、夕餉のときを終えたけれど、雨はまだまだ降り続きそう。

 雨が庇を、木立の葉っぱを叩く音。
 時折通り過ぎる車が水を撥ねていく。

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2023/12/04

昼行燈44「止まっちゃいけない」

Jinzhashi  「止まっちゃいけない

 ある秋口の早朝だった。いつもなら起こされるはずが、なぜか目覚めてしまった。それとも眠れない夜を明かしただけだったのか。
 行かなくちゃいけない。何処へ?
 逢わなくちゃいけない。誰に?
 晴れ渡った秋空だった。行先は分からない。足に任せるしかない。気の向くままってことじゃない。行方は決まっているのだ。

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2023/12/03

昼行燈43「お地蔵さんは黙っている」

Jizo 「お地蔵さんは黙っている

 

 なんだかもう、全てがグジャグジャになった気がする。
 泥濘(ぬかるみ)の続く道を何処までも歩いている。
 ずぼっと深みに嵌まってはよろめく。
 いつからこんな道なき道に迷い込んだのか、さっぱり分からない。

 こんなはずじゃなかった。
 でも、どんなふうであったのか、あったなら少しは満足するか分からない。

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