昼行燈42「無間 」
絶対零度へと漸近線を描いて近寄っていく。その線上を滑っているのだ。あの白い肌を舐めるように。それとも嘗めるほうがいいか。 夢から覚めたいのだろうか。このまま宇宙という無方向なビッグスライダーに身を任せるのがいいのだろうか。
回転の中心は何処にあるのか。引力と斥力の基軸は何処にある。
ポーの落穴と振子に焦がれた昔が懐かしい。神の心臓の鼓動を信じられるのが羨ましくてならなかった。鼓動と拍動の異同に悩んだ若いころの俺が愛おしくてならない。宇宙の時空に身を横たえても氷の微笑すら浮かばない。星屑は冷徹。欺瞞に満ちている。
物質的恍惚に酔い過ぎたのか。虚無の白熱にロマンを追い求め過ぎたのか。
灯りのない部屋。緞帳の向こう側を覗きたい。漆黒の舞台から降りたいのだ。夢は続く、無間に。白熱する街灯への郷愁。ああ、なんとちっぽけな孤独なんだろう。星屑など口にする生意気を恥ずかしいと思え!
[冒頭の画像は、拙稿「読書拾遺(シェイクスピア・ミステリー)」より]
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