昼行燈30「瑠璃色の光」
プネウマこそが地にあっての命であり世を統べる力そのものと告げているのか。
それとも……
それとも、そうスピリットを忘れんと息も絶え絶えの俺に救いの手を差し伸べんという天の配剤、唸りなんかじゃない魂への囁きなのか。
心が萎えている? 声が掠れている? 命が風前の灯火じゃないかって?
だったら泉は何処にある。風に吹き飛ばされたなら、熱い命の源泉に導かれるとでも?
閉じ籠ってなんかしてちゃいけないのだろう。大いなる天の声に耳を傾けるべきなのだろう。
耳を塞いでしまっていたのか。裸の身に自然の声を、問い掛けを受けるべきなのか。
怯え切った俺。繭の中の俺? 蓑虫の俺があの枯れ枝にしがみついてる?
ああ、俺に云わせれば、俺は気が付いた時には赤い闇のドツボで足掻いていたんだ。球体の内側を這い回っていたんだ。出口なし。
それでも、穴倉を這い出て日の射す世界にやっとのことで首を出した。
眩しい光に目が眩んだ。違う! 瑠璃色に輝く光の矢は情け容赦なく瞼という蓋をも刺し貫いた。命辛々瀕死の肉塊。それでも風の囁きに付き随おうとした。
もう後戻りは利かない。赤い闇の宇宙で晒し者の俺なんだ。
(11/05 03:48)
(画像は、「コバルトガラスを通して観察したナトリウムの炎色反応。」)
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