昼行燈10
闇の底を這ってもこの場を去りたかった。でも、何処へ?
光の粒がガラスの粉塵のように舞い漂い、目を鼻を口を喉を肺胞を襲う。肉片に食い込んでくる。まるで呑み込むように煌めくガラスの粒子を呑み込んでいる。
漆黒の闇だった。暗闇なんてものじゃない。これでもかと練り固められ磨き上げられた鏡のように輝く闇なのだ。闇の粉塵は肺腑をも浸潤しそうだった。息ができない。息なんてしたら戻れない。戻る前に息絶える。戻る? 何処へ?
息を堪えていると、体中が熱くなってきた。燃え上がっている。真っ赤な闇、焔の闇、業火の闇、千切れた舌先で舐める闇。きっと明日の朝には炭紛が散在していることだろう。
(10/05 01:13)
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