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2023/10/31

昼行燈25「点々は 宇宙を攪拌しないのです」

Milkyw4_20231101015601点々は 宇宙を攪拌しないのです

 

 

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2023/10/27

昼行燈24「古タイヤの列」

Hurutaiya  「古タイヤの列」

 小学校時代、夏休みの或る日の真昼間、近くの校庭に行ってみても、人っ子一人いない。
 眩しすぎる陽光が校庭に溢れ返り、微動だにしないブランコ、鉄棒、半分だけ姿を見せる古タイヤの列、歓声の響いていたはずのプール、ただっ広い校庭を前に、とてつもない空虚感を覚えた…。

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2023/10/26

昼行燈23「石ころ」

Mizube   「石ころ

 ボクは体の中の石ころにムカムカしていた。どうやっても、体内の石ころを取り出すことができない。胃の中あるわけじゃないらしいから、吐くこともできない。
 時折、首筋の辺りに石ころの奴、移動するらしくって、そうなると、大変。ノドチンコと石ころとで喉が狭まって、息が詰まる。ほとんど、喘ぐように息をする。
 まるで、そうだ、コンクリートの道路の片隅から生えてくる雑草。僅かな透き間を見つけて、辛うじて生きている。
 ま、やつ等ほど、ボクはタフじゃないんだけど。

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2023/10/24

昼行燈22「耳鳴り」

Jiseki   「耳鳴り

 これは耳鳴りなのか、煩わしい音がこのところずっと鳴ってる。
 音とも云えない。キーンという金属音…それともシューというガスの漏れる音とも呼べない気配のようなもの。

 あと一歩だった。あとほんの少しで手の届くところにそれはあった。それを手にしたくて、せめて目に留めたくて、それさえ無理なら闇の中にその気配を嗅ぎ取りたくて、懸命だった。
 あまりに微かな響きだった。響きというより骨同士が激しく擦れ合う、その削れゆく悲鳴の震顫。

 

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昼行燈21「青い雫」

Blue_20231024024201  「青い雫

 

 台所の流しから絶え間なく雫の爆ぜる音が聞こえてくる。

 何処かのパッキンを新しいのに換えれば、それで済む。
 でも、動くのが億劫なのだ。

 静か過ぎる部屋。俺は水滴の洩れるのが気になるのは、その静けさのせいだと思いたいのだ。

 あいつがいなくなって、まだほんの数日しか経っていない。なのにこの侘しさと来たら…。
(うんざりだ!)そう胸の中で呟く声が響きそうなほど、静まり返っている。

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2023/10/23

昼行燈20「あの影しかない」

Image_20231023031801  「あの影しかない

 

 何だか知れない影を追っていた。
 何処かなよっとしている。でも、鞭のようにしなっている。
 嫋やかというのか艶麗というのか抱きすくめたい姿かたちが俺を惹きつけてたまらないのだ。
 できれば追いすがって抱きたい、押し倒したい、その一心だった。

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昼行燈19「鳥の餌」

Tori「鳥の餌」

 軒先からチュンチュンと鳴き声が聞える。きっとスズメだろうと覗いてみたら、何処かの男女がチュッチュしていた。
 羨ましいやら妬ましいやらで、いきなり窓を開けてコラッと怒鳴ってやったら、顎が外れた。
 二人は笑っていやがった。で、やっぱりチュッチュしながら立ち去っていく。

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2023/10/20

昼行燈18 「海の響きも聞こえない」

Okweb海の響きも聞こえない

 

 紅いビロードのような壁面が延々と続く。
 紅い。紅過ぎる。
 続く。続き過ぎる。

 血塗られたパイル状の斜面を転がっている。
 べとべとした感触がえも言われぬ快感を与えてくれる。

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2023/10/19

昼行燈(番外)

Hosi星だけが知っている

 星々は何も語らず、ただ天にあり、地にある。
 天の底、地の果てにあって、輝きを放ち続けている。
 無辺大の凍て付く時空を光で満たそうと、懸命の、しかし儚い試みを続けている。

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昼行燈17「ピエロは嗤う」

Nakigara  「ピエロは嗤う

  ピエロは嗤う。あなたを、世間を、世界を、そして自分を。
 えっ、舌をペロッと出してるって? ベロが鏡に釘付けされているのさ、なんて言って信じる? あなた。

 心は殴られ潰されてしまった。涙の河は行き場を失い眼窩へと流れ込む。
 サテンだったはずの衣裳は、まるで心と体を甚振るように、風と戯れる。風に舞う。

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2023/10/17

昼行燈16

Magma  「ピエロの夢」

 星…宇宙に焦がれ仰いでいたのは遠い昔。無数の星々が煌めている。遥か遠い、遠いという言葉すらあほらしくなる。気が遠くなる。人はいつか、あの星のどれかに辿り着くのだろうか。きっと俺でない誰かが実現するに違いない。

 が、そんな夢の中の星の瞬きに純粋の極みを嗅ぎ取っていたロマンの時は過ぎ去ってしまった。

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2023/10/16

昼行燈15

Untitled「融けていく」

 世界の中のあらゆるものがとんがり始めた。この私だけが私を確証してくれるはずだったのに、突然、世界という大海にやっとのことで浮いている私は、海の水と掻き混ぜられて形を失う一方の透明な海月に成り果てているのだった。
 私だけが丸くなり、やがて形を失ったのだ。

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2023/10/15

化石の夢 夢の化石

Annya ← 暗夜行路…

 夢……(長い前段あり)気が付くと大きな書店の一隅に居た。腰の辺りほどの高さの白い書棚がズラッとならんでて、本がギッシリ。何となく売り場じゃなさそうな並び。付箋か札のようなものが本夫々に挟み込んである。どんな本があるのか、物色し始めた。するとある一角に藁半紙とも違うB5よりやや大判の、ムック風な冊子が目に飛び込んできた。

 

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2023/10/13

昼行燈14

Daku 「先手必笑」

 肉は煮え滾る鍋の中に。
 視線と肉欲とのごった煮鍋。
 眼窩は胃の腑に直結し、煮えくり返る腸が高嗤いしている。

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2023/10/12

昼行燈13

Fam  メデューサ。眺めるものを石に変えてしまう、髪が数知れない蛇の蠢く美神。


 鑑賞などといった、やわな言葉が美術や絵画の世界に使われるようになったのは、いつのことなのか。きっと、絵画作品が美術館に収められ一般大衆に、これみよがしに展覧させるようになってからではないか。見てもいい、しかし、触れては成らない。触れていいのは選ばれた者のみ。
 選ばれたものは、美女(美男)と一夜を共にする特権を得たものは、鑑賞に止まるはずがない。

 美を手中にした(かのような幻想に囚われた)者は、美を眺める。眺める、観るとは、触ること。絡むこと。一体にならんとすること。我が意志のもとに睥睨しさること。美に奉仕すること。美の、せめてその肌に、いやもっと生々しく皮膚に触れること。撫でること、嘗めること、弄ること、弄ぶこと、弄ばれること、その一切なのだ。

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2023/10/10

昼行燈12

Moon_20231010002301 「青になりたい」

 道端に蹲っていた。もう歩けない。何処行く当てもないのだが。
 眼球の奥なのか、脳髄の迷路なのか、海老色の血糊が蜷局を巻いている。
 檳榔子黒(びんろうじぐろ)のマントを羽織った男が通り過ぎていく。俺に気付いたはずなのに素知らぬ顔だ。関りになりたくないのか。どうでもいいただの点景に過ぎないからか。

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2023/10/08

昼行燈11

Sirami「シラミの部屋」

  この部屋を出たかった。出ないことには息が詰まって死んでしまう。
 今度こそ、この部屋を出る! そう決断したことは何度あることか。
 けれど、いざとなると、決心が鈍ってしまう。
 何かが引き止めるのだ。
 殺っちまったことが露見するから? 

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2023/10/05

昼行燈10

Tukikage  闇の海を漂っていた。溺れていたのかもしれない。肌に纏わりつく闇。天空に月影はない。つい先ほどはあったはずなのに、消え去ってしまった。窓の明かりも消えた。今はただ無数の星たちが煌めているだけ。月光の横暴に妨げられることなく星たちは光の刃を降り注いでいる。切っ先は肌に突き刺さってくる。

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昼行燈9

Unnga(略)書いている内容や、深さ広さに難があっても、とにかく世界の一端をでもいいから触れたいと思っている。表現したいと思っている。書くとは恥を掻くことというのが、自戒の言葉というか、モットーに近い表現なのだが…。

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2023/10/04

昼行燈8

蒼白の刃

Itsumademo_3_2  旅の空でのこと。
 何故か眠れないままに宿を出た。
 梅雨の丑三つ時の夜独特の濃密な時空が待ち受けていた。

 梅雨の最中の、貴重な晴れ間が惜しかったのかもしれない。
 窓のカーテンの隙間から洩れ込む月の光があまりに眩かったのだ。何かただならぬ気配が漂っているような気さえした。

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