昼行燈2
でもそれはなんてことない日常を昨日も送っただけなのだ。だから今日も昨日のように生きるんだ。曜日は? 学校へ行かないと。
何かとんでもない異変が体に起きているに違いない。朝からこんなに疲れ果てているなんてありえない。
布団は? いつものように団子になってる。寝苦しくて跳ね飛ばしたんだ。重石みたいに圧し掛かっていた。布団のせいで苦しかったのか。そう思いたかっただけだとは分かりきっている。
若いはずの体。心だって若い。親たちの目。世間の目。級友の目。誰とも遜色のない生活を送るんだ。送れている振りだけは忘れちゃない。
乾き切った肉体に少しずつ体液が巡っていく感触がある。若さという潤滑油が浸透し始めている。
ロボットのような体。だけど外見は人間。
魂の抜け殻…という自覚があった。意識がないわけじゃない。ただ、鉛の海をやっとのことで起き上がり、着替え、家族の下へ。
惰性だけが頼り。空間の何処かから何者かが見詰めている。抜け出ていった魂が眺め下ろしているいるのだろうか。誰の魂? 意識は何処にある。
だんまりの食事のあと、奥の座敷へ行った。誰もが慌ただしい中、それは体をゴロゴロ転がしてみた。どうにも重苦しい岩が居座っている。岩を転がして少しでも柔軟な肉体を取り戻したかった。朝の空しい習慣。
(09/15 23:20)
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