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2022/12/22

海月為す

Kyokusen  疼くものを感じる。どよめく何か。ドロドロの心。形になりきれない何か。姿を現わそうとする意志が逆に熱になり、生まれいずる何かを溶かし去る。世界は海月為す溶暗の海。命の微粒子達の生成消滅。生まれ生き喰われ消え果て異なる何かとなって再生し、やがてまた餌となって潰え去る。全ては過程。全ては命の輪廻。

 喉の奥の違和感が消えない。口蓋の揺らめき。咽頭弁がクラゲを真似ている。息の流れが襞を嘗めていく。言葉が生まれつつあるのか。それとも音韻の胎動なのか。何時か意味ある波を描くだろうか。波動は無数の音の断片の寄せ集め。赤い闇の奥からの読み解き得ないメッセージ。

 ああ、また赤黒いマグマが口から噴き出すのか。それとも噴出し得ず、喉を塞ぐに終わるのか。胃の腑の喚きは大地の微動に呼応してはいないのか。ただの喚きに終わるのだろうか。凝り固まった溶岩の底に私はいないのか。あっても全ては熱気に解け蒸発し去ってしまうのか。

 

[トップの絵:小林 孝至作 「曲線」 (「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)]

 

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