観る前に飛ぶんだ
ガラスの粉塵のような惨状に、どう凝視しても躯には見えないだろう。思い切って寝転んでみることだ。全身にラメのような輝きにのたうち回るに違いない。睡魔の奴の高笑いが聞こえるだろうぜ。
そう、お前に熟睡など許されていない。耳元で、それとも脳髄の中で銅鑼の音が鳴り響いてやまない。肉の身のはずが、粉砕されたコンクリートの瓦礫の、あの味も素っ気もない震撼とした牢獄の沈黙に呻くだけ。
格子の隙間からは何が見える? そうか、相変らずの沈黙の闇か。お前の成長のなさも病膏肓だな。
さあ、一緒に飛び降りようぜ。手に手を取って、飛び込むんでやるよ。観る前に飛ぶんだ。崖下へ。宇宙へ。
[トップ画像は、イタリアの画家ジョヴァンニ・セガンティーニが1894年に描いた絵画『悪しき母たち』フィリップ・ジュリアン著の「世紀末の夢―象徴派芸術」にてこの絵を知った]
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 昼行燈125「夢の中で小旅行」(2024.11.26)
- 昼行燈124「物質のすべては光」(2024.11.18)
- 雨の中をひた走る(2024.10.31)
- 昼行燈123「家の中まで真っ暗」(2024.10.16)
- 昼行燈122「夢…それとも蝋燭の焔」(2024.10.07)
「駄文・駄洒落・雑記」カテゴリの記事
- 昼行燈125「夢の中で小旅行」(2024.11.26)
- 雨の中をひた走る(2024.10.31)
- 昼行燈123「家の中まで真っ暗」(2024.10.16)
- 昼行燈122「夢…それとも蝋燭の焔」(2024.10.07)
- ローンライダー(2024.10.02)
「創作(断片)」カテゴリの記事
- 昼行燈123「家の中まで真っ暗」(2024.10.16)
- 昼行燈122「夢…それとも蝋燭の焔」(2024.10.07)
- 昼行燈121「お萩の乱」(2024.09.20)
- 昼行燈120「小望月(こもちづき)」(2024.09.17)
- 昼行燈118「夢魔との戯れ」(2024.09.05)
「ナンセンス」カテゴリの記事
- 宇宙を彷徨い続ける(2025.01.14)
- 昼行燈125「夢の中で小旅行」(2024.11.26)
- 昼行燈122「夢…それとも蝋燭の焔」(2024.10.07)
- 断末魔(2024.10.01)
- 昼行燈121「お萩の乱」(2024.09.20)
「あの日から始まっていた」カテゴリの記事
- 昼行燈125「夢の中で小旅行」(2024.11.26)
- 昼行燈124「物質のすべては光」(2024.11.18)
- 昼行燈118「夢魔との戯れ」(2024.09.05)
- 昼行燈117「夏の終わりの雨」(2024.09.04)
- 昼行燈115「ピエロなんだもの」(2024.08.26)
コメント