あの日から始まっていた (32 雪に埋もれていく)
ラジオ体操。テレビで日に何度も。ガキの頃は、夏休みとか近所でやってて(今も近くのお寺さんが夏休み、境内を提供しやってる)、カードに参加したら判子 押してくれた。判子が埋まったら……何かご褒美をもらった?
体操自体は、ガキにはかったるかった。運動のうちに入らない。缶蹴りや野球や縄飛び、押しくらまんじゅう、だるまさん転んだ、パッチン、木登り、ジャングルジム、ブランコ……。一番好きだったのは、かくれんぼ。
それが今では、ラジオ体操がハードワークに。1番から3番どころか、1番だけでもやり通す自信がない。というか、試みる気すらない。テレビ体操を眼でシミュレーションしてやったことにする。やる気はあるんだよ、やらないだけだよと、言い訳したりして……
ま、折々の庭仕事、いまの時期なら雪掻きが運動になってる……と思いたい。大雪になると、日に何度も汗だくになってやる。やるっきゃない! 降雪量が多いと、夜中に除雪してると、あちこちで雪掻きの姿が。不思議なのは、やってるのは、年寄りばかり。働き盛りの連中はどうした? ガキどもはやらんのか?
年輩の方が雪掻きするのは、何か家事に貢献したいという思いがあるのか…あるいは、ガキの頃からの習慣、習性なのかもしれない。自分も未明に夕方に、夜中にやってた。当たり前のことだし、何となく楽しかった。やった労苦の結果が目に見えるんだもの!
たとえ、数時間後には、否、時には数分後には、やった跡どころか、足跡すらあっさり雪に掻き消されるとしても、悔しいとか、労苦が意味なかったなどと思ったりしない。人はやるべきことを淡々とやる。誰が見ているとか、やったことが無為に終わったとか、そんなことはどうでもいいんだ。生まれて それなりに生きて やがて死んでいく。先に生きた人たちの姿がいつしか見えなくなったように、自分も消えていく。そう、雪に埋もれていくように……
(01/16)
(画像は、拙稿「「ごぶる」じゃなく「ごぼる」ながけ?」より)
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