私の荒涼館
私は煮え切らないまま、彼等に背を向け去っていく。後ろ髪を引かれる思いはいつものことだ。真っ暗な道。何処へ向かえばいい。茫漠たる思い。気が付くと私は先ほどの建物の一室にいる。私の部屋。アパートか団地の一室のようだ。向かい側にも4階建ての団地が。部屋に明かりは点いてない。私は大きな窓から外を伺う。どうやら三階ほどの高さ。地上は部厚く幅広い葉っぱの木が埋め尽くしている。
隣のどの部屋も真っ暗だ。みんな出ていったか寝静まったのか。不意に右隣の部屋に人の気配。どうやらこの辺りを巡回している誰か。隣との仕切り……壁はベニヤ板ほどに心許ない。どうやら団地の管理人か大家、あるいは警備員のよう。見回りしてる。私は気配を消して不在を装った。が、彼は壁をごそごそしたかと思うと、やがて壁の衣類かカーテンの隙間からあっさり私の部屋に入り込んできた。
部屋は暗い。でもひと部屋だし、真ん中に敷いてある布団を跨がない限りこちら側には来れないとはいえ、私に気付かないはずがない。が、彼は私などに頓着せず、部屋のドアから静かに出ていった。何事もなく済んで安堵する間もなく、驚く事態が起きた。
なんと布団から、あるいは何処からか若い男が二人現れたのだ。男の一人は着物がはだけていて、見事な肉体美が一瞬見えた。彼等は誰も居ないものと思い込んでいた。黙っているわけにいかず、私は誰何した。彼等はいぶかしんだ。(01/12 04:11)
彼等は怯まない。もしかしたら私が間違えてるのか。私の部屋じゃない? (01/12 10:37)
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