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2022/01/29

あの日から始まっていた (36 「祈り」を巡って)

Sengen

 [「祈り」を巡って(その3)

 雨上がりの小道を歩くと、何かが私の頭に落ちた。数知れない細かな透明な粒を目にした。それは、近所のブロック塀越しの木の葉を伝って、私の頭に落ちた一滴の水の雫だったのだ。ちょっとした衝撃の波が私の心に走った。
 それは、まずは外で冷たい何かの直撃を受けるという予想外の出来事への驚き。

 

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2022/01/21

あの日から始まっていた (35 葬送のこと)

Funeral
  「葬送のこと


(前略)が、宇宙から見たら、海だろうが空だろうが土だろうが、大した違いなどないということも事実に思える。それだったら、どうせ遺骸は火葬されるのだし、遺骨が空葬されようがどうしようが関係ないということでもあるのかもしれない。
 それとも、遺骨などではなく、DNAを遺しておこうか。

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あの日から始まっていた (34 海辺の戯れ)

0704063_20220121020101海辺の戯れ


 臓物がのたうっている。
 まるで言葉のように。
 言葉がもんどりうっている。
 まるで腸(はらわた)のように。

 

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2022/01/20

あの日から始まっていた (33 自分一人の部屋)

Yoru  今冬の我が部屋はやたらと静かだ。何も聞こえない。耳が衰えたせい? それもないとは言わないが、エアコンを使っていないせいだ。昨秋、電気ストーブを新たに買ったこともあり、自分が過ごす茶の間は、暖房と云えば電気ストーブだけ。弱、中、強の三段階の切り替え。そのうちの中で普段は過ごしている。シャワーを浴びる際だけ、寒い浴室や脱衣所を暖めるため、茶の間で服を脱ぐと寒いため、強にする。

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2022/01/19

あの日から始まっていた (32 雪に埋もれていく)

Yuki_20220120024301  ラジオ体操。テレビで日に何度も。ガキの頃は、夏休みとか近所でやってて(今も近くのお寺さんが夏休み、境内を提供しやってる)、カードに参加したら判子 押してくれた。判子が埋まったら……何かご褒美をもらった? 
 体操自体は、ガキにはかったるかった。運動のうちに入らない。缶蹴りや野球や縄飛び、押しくらまんじゅう、だるまさん転んだ、パッチン、木登り、ジャングルジム、ブランコ……。一番好きだったのは、かくれんぼ

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2022/01/18

あの日から始まっていた (31 凍てつく宇宙に鳴る音楽)

Blacksmoker (前略)途切れ途切れの音の連なり。でも、一旦、曲を聴き始めたなら、たとえ中途からであっても、一気に音の宇宙の深みに誘い込んでくれる。
 たとえば、何処かの人里離れた地を彷徨っていて、歩き疲れ、へとへとになって、喉が渇いたとき、不意に森の奥から清流の清々しい音が聞こえてくる。決して砂漠ではないはずの地に自分がいるのは分かっている。木々の緑や土の色に命の元である水の面影を嗅ぎ取らないわけにいかないのだから。
 でも、やはり、水そのものの流れを見たい。体に浴びたい。奔流を体の中に感じたい時がある。
 やがては大河へ、そして海へと流れていく川の、その源泉に程近い、細い清水。

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2022/01/12

私の荒涼館

Yukiki夢: 皆が集った会がお開きになった。みんな三々五々去っていった。私も。が、そこに若い男女が。一人は私が憎からず思っている人(だが気持ちを明かせずにいた)。男は私の知り合いだが、彼女に寄り添っている。私が彼女に近付けば彼はさりげなく立ち去るはず。

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