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2019/01/25

ジェネシス 6 雪の朝の冒険

Kenchanhidaジェネシス 6 雪の朝の冒険

 これも小学生だった頃のこと。四年生だったかな。長い入院。退院して間もなく。冬休みに入っていた。あの頃は雪が1メートルも降るのは当たり前だった。ボクは、ある雪の朝、小さな冒険に出た。何故か未明の4時頃に目覚めてしまったのだ。

 目が冴えて起き上がるしかなかった。外は雪明かりで、摺りガラスを透かして部屋の中まで光が洩れ入ってくる。退院したばかりのボク。手術して、副作用で口呼吸しか出来なくなっていた。

 入院前までは姉と一緒の部屋だったけど、ボクの鼾があまりに煩くて眠れないと、姉が親に談判。ボクは、独りぼっちで寝始めていた。

 ボクには、手術して以来、夜はなくなった。睡眠ではなく、真っ赤な闇との徹夜の闘いに成り果てていたのだ。起きるとは、熱っぽい闇から、白けた日常へ追いやられる、それだけのこと。

 誰にも気付かれず、こっそり家を出た。退院のお祝いだったか、スキー板をプレゼントされていた。雪は止んでいた。たっぷりと雪が積もっている。何処かへ行かなくっちゃ! 田圃も畑も、畦道も、用水路だって、雪にどっぷり埋もれて、そう、純白の部厚い布団を被っているよう。世界が真綿でくるまれている。ボクも包んでくれるに違いない!

 雪原は何処までも、果てしなく続いている。曇天の空と雪の野との境は曖昧に、そう、真っ白な地平線が生まれたようだ。富山とは思えないようなパウダースノー。スキー板がやんわりめり込む。雪けむりを掻き立て滑りたかったけど、下手くそなボクにそんな真似ができるはずもない。
                       (断片)


(本作は、拙作「真冬の明け初めの小さな旅」の裏版である。仕事中にメモったので、尻切れトンボに終わっている。)

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