蛇を踏まず
→ 「アスクレーピオスの座像。左にシンボルの蛇。」 (画像は、「アスクレーピオス - Wikipedia」より)
21日のこと、国道8号線をバイクを駆って西へ向かっていた。とある交差点で信号待ちの車の列。車道の端を先頭へ。信号が青に変わり、先頭集団がそろそろと動き出す。
けれど、何か様子が変。片側二車線の走行車線の車が何かを避けるようにハンドルを切っている。青になって急に左折しようと思い立ったとかじゃないようだ。いよいよ自分のバイクがその地点に近づいた。黒い影が舞い上がり、目がその動きにつられそうになったら、路上に何か黒っぽいものが……
舞い上がったのは、カラスのようだったが、車が避けた地点に見え始めた黒い影は何だか細長い。地に横たわるものは?
それは一メートルほどの胴体の黒光りする蛇だった。頭部を左車線の真ん中付近した蛇は、長い胴体がニョロニョロといより、のたうっている。一瞬の凝視だったので確たることは言えないが、蛇の頭が赤っぽく、潰れているような。車に頭が轢かれた? それとも、カラスに噛みつかれたのか。
推測するに、蛇を銜えて飛んでいたカラスが車の列の中に蛇を落としたのだろう。慌てて獲物を拾いに行ったのだが、信号が変わって車が動き出したので、獲物を銜えることもできず、やむを得ず舞い上がり、頭の潰れた蛇は、死にきれずに胴体がのたうっていたらしい。
あるいは、これはミステリー風な憶測になるが、車列の車の誰かが、車中から蛇を路上に放り投げた。それを目ざといカラスが啄みに舞い降りた。が、嘴に銜えて飛び去る寸前に信号が変わってしまったのかもしれない。
私は何とか蛇の体を尻尾の先で上手く躱すことができた。でも、後続の車の中には避けきれず踏んだ車もあったかもしれない。しばらく鼓動の高まりが続いた……
(拙稿「ハエ取り壺からハエを導き出す」(2018/05/23)より)
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