首都高速に迷い込む
[これはなぜかよく見る夢のヴァリエーション。舞台は首都高速のインターチェンジ]
私は、パワーのない車、電動の車椅子のような小さな車に乗っている。あるいは中古のバイクかもしれない。
目の前にコンクリートの斜面が迫ってきた。その斜面を登るしかない。
私の車のパワーでは登るのはギリギリか、もしかしたら、登りかけても、途中からズルズル滑り落ちてしまうかもしれない。
内心、無理に決まってると思っている。後ろには、友人の車が。彼も私のあとを追うはずだ。だから、私の様子を見守っているのだ。
けれど、えいやっと登ってみると、辛うじてだけど、斜面を登り切ることができた。冷や汗タラタラであったけれど。
ただ、登れたのがホントによかったのかどうか、分からないと、あとになって気づかされる。
コンクリートの斜面はまだまだ続く。最初の斜面ほど急でないだけで、坂の行く先は見えないほどだ。
車をフルパワーにして登って行った。滑り落ちようとするのを堪えるのがやっとなのを、無理を押して登っていく。
上っている斜面は、何処かのインターチェンジ。コンクリートの壁面の向こう側には、車道があるが、うっかり迷い込もうなら、車の渦に呑み込まれるに違いない。
私は壁面のこちら側のコンクリートの面を這うように登っていた。が、とうとう限界を感じた。もう、これ以上、にっちもさっちもいかない。
車をコンクリートの壁面に寄りかからせて、私は今度は斜面を這いつくばるようにして登って行った。
一体、どこまで来たのか分からない。
気が付くと、私は何処かのビルの一角に居る。インターチェンジの施設のビルのようでもあり、デパートか何かのビルの裏階段のようでもある。コンクリート打ちっぱなしというのか、まさにコンクリートの壁面や床面が剥き出しなのである。
もう、ビルの閉館時間なのか、出ないと行けない。
けれど、私は、あの車を取りにいかないといけない。
私がいるのは、渋谷の辺りのようだ(夢の中では最後に必ず渋谷が舞台となる)。
その渋谷からは、車のあるはずの場所まではかなり遠い。新宿か赤坂か。さらに、インターチェンジの交差も半端じゃない。やたらと入り組んでいる。何処をどう伝っていけば、私の車の在り処へたどり着けるか、見当もつかない。渋谷からは青山方面もあるし、新宿方面もあるし、そもそも渋谷からは幾つも路線が交差し放射していく。環状線だってある。
人影疎らな渋谷のビルからは、それでも数組の人たちが出ていくのを目にする。
その誰かのあとについて行けば、渋谷のビルからは出られるのだろうが、私の行く先へは、誰も教えてくれない。
私の車へは、どうやったら辿り着けるのだろう。
[大概、渋谷で途方に暮れる状態で目が覚める。どうして首都高速の交差する路線の、しかも、何処かの地下の一角で巨大で複雑な、まさに迷路のような首都高速のビル……か斜面の一角なのか、全く見当も付かない。]
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