扉の向こう
(何か長い夢の続き……だったような)
私は、扉の向こうに真っ青な空の元、テニスに興じている人たちの姿を見た。
白球がまぶしいほどに輝いている。
そこに一人の少女。小学生になったばかりか。
私が彼女らを扉の陰に半分隠れるようにして、もっと見ようとすると、そこへその少女がやってきた。
間近で見ると、可愛さが痛いほど。
でも少女は、目線は決して私に合わせないようにしている。
――あの、私たちのこと、見ないでほしいんですけど。
と、きっぱりと。
臆病な私は、その言葉に素直に従った。
ああ、でも、私は彼女らを見たかった。彼女らの仲間入りなんて贅沢は望まないから。
あの白いボールだって、私のボールじゃないかって、言いたかった。
でも、言えるはずもなく、私はその場を立ち去った。
醜い私には、永遠に閉ざされた扉の向こう側の世界なのだ……
[そのあと、目覚めた私は涙が止まらなかった。縁なき世界なのだと自分に言い聞かせながら……]
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