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2015/09/25

サボテンの心

 バラバラになった心。ちぐはぐになっている心。

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→ お絵かきチャンピオン作 「異能であればあるほど孤立していく、しかし」 (同氏のホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」)

 引き裂かれた心は、その破片に一つ一つが鋭利な匕首となって、あなたを、あなた自身を傷つけ、心臓を抉ろうとする。
 いや、違う。心は絵に描いた餅なのだ。見ることも、感じることもできるけど、触ることは許されない。

 その証拠に、心は風に揺れている。風が吹くだけで、いいように弄ばれてしまう。
 木の葉のように揺れ、やがて吹き千切られていく。

 襤褸切れのような心。バラバラになって、みんなあっちこっちへと飛び去って行く。
 それをあなたは懸命に追いかける。一枚、拾うと、その間にほかの断片たちが逃げていく。
 掻き集めようとしているのは、あなたの心なの? それとも、この世への未練? 

 行き過ぎる人たちは、みんな素知らぬ顔だ。面倒には関わりたくないのだ。あなたが自業自得で自滅するのを横目で高みの見物している。
 あなたの必死な格好を見て、嘲笑っている。いや、ただ、滑稽だと大嗤いしている。

 とげとげしい心なんて、嫌われるだけ。でも、誰だって好きで尖がっているわけじゃない。
 サボテンの棘を持って生まれたんだもの、仕方ないじゃない。

 棘はあなたの皮膚を突き破って表皮をカギ裂きにする。涙も膿も溢れない。あなたは乾ききっているから。
 近寄る者たちを突き刺してしまう。あなたは、あの人を抱きしめたい、だたその一心で抱き締めただけなのに、あなたはあのひとを傷だらけにする。血の海に沈めてしまう。血の涙を流させてしまう。あなたの涙で洗い流してあげることもできない。

 あなたは孤独の海を沈んでいくしかないのだ。
 ただ、愛されたいだけ、ただ、愛したいだけなのに、あなたは孤独の海の底で、血の涙がやがていつかは潮水に溶け去っていくのを見つめているしかないのだ。
 そして、それはそれで一つの人生なのだろう。


                      (15/09/17 作

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