出るに出られない
何処かの高層マンションの一室に居る。
最上階というわけではないが、かなり高い階に部屋があるようだ。部屋はワンルームではなく、幾つか部屋がありそう。私は何か故があって、ここに引きこもっている。でも、そろそろ出ようかなと思い始めている…ようでもある。
そこへ、会社の同僚たちが何人もやってきた(多分、93年に13年在席して辞めた会社のの同僚)。中には最近テレビで観て好きになっている女性もいたような。
彼らは、私を迎えに来てくれたのだ。それも、会社のほぼ全員が揃っている。懐かしい顔がいる。当時の顔や表情のままだ。
だが、私は意固地になってしまっていた。「オレはねー、もう、出ていくつもりでいたんだよ! でもねー、なんだか、こうして詰めかけて来られると、逆に出る気になれなくなってなってねー」なんて、私らしいへそ曲がりな性分が嬉しいはずの気持ちを押さえつけ、彼らの誘いを固辞してしまう。
彼らは私の様子を眺めている。私は物陰に隠れるようにして、彼らから顔、特に口の辺りを気にしている。
口内に、何か紫色の異物がこびり付いている。眠っている間に、喉(あるいは肺か気管支)からだろうか、石灰か何かがじわりじわりと溢れ出し、口蓋にへばりついてしまっている。舌で舐めると、まるで石膏ボードのような味もそっけもない感覚が。
口内に石膏の壁が貼り付くような夢はこれまで何度も見てきた。指を突っ込んで剥がそうとすると、時に石膏が口蓋に貼り付いていて、下手すると粘膜からその先の肉までを剥がしそうである。なので、少しずつ慎重に断片を剥がしてはペッペッと吐き捨てる。あるいは、流し台に駈け寄り、水道水で石膏を柔らかくして口から吐き出そうとする。苦いような味もある。
それが嵩じて、とうとう昨朝の夢では、紫色の半透明の乾いた石膏となってしまったのだ。私は身体の異常を前々から自覚していた。でも、人には懸命に隠してきていた。
なのに、十人を越えそうな同僚がやってきている、その前で真相が露見するなんて、真っ平御免だ。
流しに向かって口を突き出し、指を突っ込んだり、水を含んで紫色の石膏を壊して吐き出している。こんな奇怪な症状を、無様な姿を見られたくない…。
私は今や二進も三進もいかないでいた。
(「体の異変を知らせる夢なのか」(2015/04/16)より)
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