ボクはダイオウイカだよ!
怖いほどに透明な、蒼き闇。
覗き込むと吸い込まれてしまう。否、目にした瞬間、もう、天も地も分からなくなる。上下など意味をなさなくなる。気が付くと、私はそれになっている。
→ チャンプwxp 作「蜘蛛の巣ザンヌ」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)
それは、浮遊する粉塵より微細な粒子。水晶体にへばりつく網膜の切れっ端。血の涙さえ、疾うに吸い取られ尽くして、眼窩は深海の沈黙に耳を澄ます。
空っぽになった眼球は30億年の夢を貪っている。夢は膨らみ、破裂寸前ではないか。
皹が入っているではないか。蜘蛛の巣のような皹が、マグマの噴出を堪えている。
懸命なのだよ。必死なのさ。なのに、人には嗤われるだけ。なんて滑稽な奴って、みんなして嘲笑っている。
いいのさ、嗤うなら嗤え。オレだって嗤っちゃうしかないんだもの。
← チャンプwxp 作「笑顔緑ちゃん」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)
すると、見よ! 闇の宇宙の奥底から黄緑色のピエロが浮かび上がってきたではないか。
きっと、こうなったら、開き直るしかないってダイオウイカの被り物をして自慢げに立ち尽くし、目を凝らし、口は引き攣るように裂け開いている。
あとは、涎をたっぷり流し、オシッコをざぶざぶ飛ばし、なけなしの血の涙を振り絞るだけさ、そうだろう?
関連拙稿:「ピエロなんだもの」(2014/12/26)
| 固定リンク
「妄想的エッセイ」カテゴリの記事
- 昼行燈9(2023.10.05)
- 昼行燈5(2023.09.23)
- 昼行燈3(2023.09.19)
- あの日から始まっていた (39 独りきりの祝祭)(2022.03.11)
- あの日から始まっていた (37 南天の実に血の雫かと訊ねけり)(2022.02.21)
コメント