甘美な遊び
そこは女の子だけの世界。笑いさざめく賑やかな空間。
華やか? とんでもない。横溢する命を持て余しているのだ。互いの優劣を競い合っているのだ。
→ お絵かきチャンピオン作「なんじゃもん者」 (ホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」参照)
自分こそは一番でないといけない。そのはずなのだ、という思い。
でも、序列はえげつないほどに明らかだった。
デカルトも驚くような価値査定の座標軸が網の目のように張られている。無数の蜘蛛たちが縦横無尽に張り巡らしたピアノ線の時空。
お前は、複素数時空の虚の海の底。その深くに沈んだまま、一生、浮かびはしないと悟るのに、誰が手間取ろうか。
← お絵かきチャンピオン作「猿山田登」 (ホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」参照)
物心ついたころの妖精のような夢は、風の前の泡のように儚かった。今生は叶わない夢は我が手で掻き消した。喉を我が手で締め付け、脳髄を沸騰させ、腸は煮え返り、そうして魂の骸が残った。
満面の笑みが、それこそパンパンに張り詰めたゴム毬のように弾けている。笑い声が天空へと弾け飛んでいく。お互いにぶつかり合っては、一瞬の炸裂の予感を愉しみ、そうしてまた離散する。
→ お絵かきチャンピオン作「パシリ丸」 (ホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」参照)
散らばった毬たちは、予定調和のように集まって、また、寄り添うのだ。ギュギュッとね、密着しちゃうのさ。
慰め合い、嫉妬し合い、隙を狙い、一つ、また一つ、輪から消え去っていく。
次の世の挑戦。ほんの僅かでも、前世より日の当たる座標点を確保しようとする。
崩れた肉体。歪んだ肉。瘤々の皮膚。人と違うシンメトリー。
風でさえ、あなたの前では、蜷局を巻き、風神を呼び、龍の鱗が牙を剥く。
無風快晴の空は、夢の中でさえ、叶わない。
← お絵かきチャンピオン作「甘美な遊び」 (ホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」参照)
ああ、それでも、楽しきかな人生である。生きていることの悦びの種は尽きないのだ。泉は何処にもある。水は、ほれ、そこだって、ちょっと掘ってみれば湧き出してくるのだ。
花が好き? どうして女の子は花が好きか、知っているかい? 演技している。装っているだけだって?
とんでもない。
雑草に咲く花の、その逞しさを見るがいい!
生きていること、命が悦びを発散している、その眩しさ。
→ お絵かきチャンピオン作「トンズラ」 (ホームページ:「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」参照)
心底、お花が好きなのだよ。花びらの中に埋もれたいのだ。その美はわたしそのものだと、叫んでいるのだ。
芳しさと恍惚とに満ちていることを、あなたをその悦楽の園に憩わせることができると、確信しているのだよ。
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