何処へだっていこう
星々が天蓋の虫食いに見えてしまう。
それはまた、眼窩だけが目立つ人々の群れを想わせる。
→ 小林孝至作「作品No.2014_1400」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より) 今にも崩れそうな詩情…。小生の好きな木版画家・清宮質文を想わせる瞬間がある。でも、彼はそんな詩情なる安寧の境に身をゆだねようという気はさらさらないようだ。(清宮質文については、拙稿「「清宮質文展 生誕90年 木版画の詩人」 ! !」を参照のこと。) 「赤裸の心」参照。
思い出が腐敗しきっている。蕩けた悲しみだけが、深甚な何かがあったに違いないと推測させてくれるのだが、そんな余韻ももう息も絶え絶えとなっている。
星だって無数の仲間がいるというのに、どうしてこうも独りぼっちなのか。
お前のせいだ、という声が聞こえてくる。周りから…ではなく、胸のうちから。
そうか、自業自得だったのか。
秋雨がしとどに降っている。昨日の一瞬の暑さは夢に過ぎなかったと思い知らせる。
そうだ、何もなかったのだ。どんな労苦も氷雨に流され形を失っていく。
まして、お前など、最初からなかったようなものじゃないか、何が不満なのだ…。
誰にも相手にされなくても、孤独だけがお前の友達。
肩ひじ張った倨傲がお前を慰撫してくれる。癒しとなって、付き纏ってくれる。お前を墓場の草むらに連れ込んでくれる。
居場所はどこにだってあるさ。選り好みしなければねって、誰かが言う。
そうなのか…。だったら、お前と一緒に歩いていこう。
何処へだって歩いていこう。
ここではなければ、何処へだって。
(初出「何処へだっていこう」(2014/11/02)より)
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