ツイッター小説
雪の降る日曜日だった。道端に小犬が捨てられていた。段ボールに詰められて。道行く人は一瞬、見つめるが、誰もが通り過ぎていく。拾ってやりたい。せめて雨宿りくらいは…。たまらず抱き上げてしまった。オレの頬を舐める。さて、どこへ行こうか。オレも宿がないのだ…。
あの日、胸騒ぎしたオレはあの人の家に向かった。朝6時前。急がなくっちゃ。会える望みはなかった。ただ、会いたかった。橋を越え、ポストのある角を曲がるとあの人の家が見える。胸は高鳴った。すると、なんとそこにあの人がいた。怪訝な顔。でも、すぐに微笑んでくれた。奇跡の時!
晴れ渡った秋の日、峠の道を歩いていた。あの人と二人。湖を目指して。が、道が塞がっていた。前夜の雨で土砂崩れした? 周囲を見渡すと、隧道があった。低い天井から雨漏りがする。彼女はピンクの傘を出した。オレは傘を差し、彼女の肩を抱き寄せた。湖に行く必要はもうなかった。
ボクは犬に追いかけられていた。ハムなんて、やらなきゃよかったんだ。どこまでも奴は追いかけてくる。子犬なのに怖かった。下手するとボクが喰われる!川があった。ボクは飛んだ。子犬もつられて飛んだが、越えられずに石の角にぶつかって川に沈んだ。川底に残った死体はボクだった。
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