スノーノイズ
二つの粘膜が重なり合っている。
まるで縫合されたように、べったり重なり合っている。
行き倒れの恋人たちのように、それとも、季節外れの濡れ落ち葉のように。
乾いた瘡蓋を懸命に剥がそうとする。
腐った蓋の下に命が蠢いている気がして。
粘着く膿の中に無数のスペルマが漂っている。
血糊のへばり付いた底を何かを探して執拗に。
彷徨の果ての数知れない骸たち。
死滅した世界。
命は映らぬテレビの砂嵐。
宇宙線のように飛び交う砂塵の粒たちを目で追う。
目玉に無数の穴が開くのも構わずに。
もしかして水晶体の海を塵芥の墓場にしようというのか。
豆腐に映っていた蘇らぬ夢。
瑞々しさと生々しさとが水の中で実現していた。
生まれいずる悩みのような夢が、水中花のように微笑んでいた。
ああ、オレは夢を夢見る骸。
水際の睡蓮。豊饒の膿と枯渇の空の狭間の浸透膜。
飛び散ってしまったノイズの軌跡をひたすら追うウサギ。
いつかは、散らばった骨や血肉の欠片たちを集め固めて形を取り戻すのだ。
挿入画像などは、以下より:
「砂嵐 - Wikipedia」
「アナログ放送と砂嵐 - Eyes, JAPAN Blog」
「スノーノイズ - Wikipedia」
| 固定リンク
「詩作・作詞」カテゴリの記事
- あの日から始まっていた (34 海辺の戯れ)(2022.01.21)
- 永遠と一瞬の美しき目合ひ(2016.07.02)
- シャボン玉飛ばそ(2015.07.04)
- 氷の町(2015.02.03)
- ピエロなんだもの(2014.12.26)
コメント