国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた
列車で夜の旅をするとき、あるいはトンネルを潜るとき、窓の外の闇と窓に映る女性の姿との幻想的な詐術の世界にさりげなく浸って遊んでみる。
現実がそこにある。赤の他人ではあるが、生身の女性が何処かの席に座っている。
その姿を直接見ることは叶わないが、また、窓に映る姿であっても、じっと眺めるわけにはいかないが、窓外の闇に沈む郊外の小さな明かりや、朧ろな山影の夜の闇とのラインを眺める折に、ふと夜の闇が織り成す透明なガラスの幻影装置世界に浮かぶ幻でもなければ現実とも言いかねる女を、ただ、夢のように眺めるのである。
もしかして現実と想っている世界であってさえも、本当は夢幻の塊に過ぎないのかもしれない。
(「国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた」より)
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コメント
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投稿: つねさん | 2012/12/21 17:21