青い闇の道
守り神だったはずの白猫も、すっかり老いて、そっぽを向いたまま。
もう、お前を守る役目は引退の時期だと呟いている…。
お前には、もう先がない。
運は使い果たした。
ワシの運さえもな。
夢ほどにリアルな空間が圧し掛かってくる。
息が苦しくなる。
肺胞が詰まっているのか。
それとも、喉がねじれてしまったのか。
懇願する思いが脳の血管に塊となっている。
焦がれる思いは神経細胞を焼き尽くしてしまった。
生き延びる余地は、夢の中にしか残っていなかったのに、その夢さえ、見ることは叶わない。
血反吐のような花が道端に咲いている。
天国へ、それとも地獄へと導く道しるべ。
それはそれは美しい花だ。
お前に終わりを告げる花、彼岸花、曼珠沙華、血の花。
肺から口へ、口から天へと吐き出された命の花。
家の裏へ続く道は、青い闇の道。
あるようであり、ないようでもある、限りなく透明に近いブルーな道。
幽明の境を彷徨っても、やがては行き止まりとなる道。
亡霊たちが幾人も先導してくれている。
だから、決して迷うことはない。
お前の行き着くところは決まっているのだから。
みんな、待っているよ。
みんな…お前が地獄に突き落とした仲間たちだ。
血の涙のような真っ赤な闇に流れる三途の川に流されて、みんなの元へ行くがいい。
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