身内の前でタバコは止めて
あなたはあなたの人生観があり主義主張があって吸っているのだろう。
そんなものに干渉するつもりなどサラサラない。
そんなものには、オレは何の興味もない。
それどころか、あなたはオレより、ずっと優しい、情の深い人間だと、オレは(オレだけじゃない)そう心底、信じている。
でも、あなた、あなたの傍には、孫娘、孫息子がいる。
あなたの愛する孫娘であり、孫息子のはずだ。
オレの孫娘でも孫息子でもないけれど、でも、オレは密かに勝手にそれくらいの気持ちで彼らを愛している。
そんな愛する妻や、息子や、娘や、孫娘や孫息子の前で、どうして同じ部屋で平気でタバコを吸えるのか、オレには理解できない。
タバコを吸うとは、誰かの表現を借りれば、同じ空間を共有する誰彼の体を心を命をヤスリで削っているようなものなのだ。
人前でタバコを吸うとは、白昼堂々、傷害行為を為しているようなものではないか。
タバコを吸った唇で愛するとは、毒を相手に擦り込んでいるようなものではないか。
優しいはずのあなたが、どうしてそんなことに気付かない?
ああ、オレの姉、オレの(気持ちの上での)息子や娘や、孫娘や孫息子の前で、どうか、あなた、タバコは吸わないでくれ!
……なんてことを、親戚の人間には、姉の旦那さんには、言えない。
ひたすら、分かってくれること、自ら気付いてくれることを祈るばかりだ。
[本稿は、「身内の前でタバコは止めて」より抜粋。本文中のタバコの吸殻の画像は、「喫煙 - Wikipedia」より。]
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