母と息子の「カラス なぜなくの」談義
「からす なぜなくの」
「それはね、からすは山に かわいい七つの 子があるからよ♪」
「ふーん。ところでさ、山にいるのは七羽のカラスの子供なの、それとも七歳の子供なの?」
「それはね、からすの子供が待っているんじゃないの」
「えっ、じゃ、からすは、人間の子供が可愛いからって、カアカア鳴いているの?」
「バカだね、この子は。カラスの子供が七歳じゃ、とっくにお爺さんかお婆さんでしょ。とてもじゃないけど、丸い目をした いい子だよ♪ なんて、唄えるはずなわよね」
「分かんなくなってきた。からすが鳴いているんでしょ。巣に子供が居るからって、待っているからって。巣に居るのが人間の子なら、飛んでいるのは、からすじゃなくて、人間ってこと?」
「ばかだね、お前は。つくづく、我が子だね。人間が空を飛べるはずないでしょ」
「あーあ、ますます分かんないや。巣に人間の子供が待っているってことは、何? からすって、人間の子供を捕まえて巣に閉じ込めているの。その子供を早く食べたい、腹減った、と鳴きながら飛んで帰っているってわけ?」
「何て子だろうね、お前は。できることなら、お前の脳味噌と、カラスのと入れ替えてもらいたいもんだね」
「大体さ…。あれ、飛んでいるのがからすだったらさ、どうして、巣に子供を残しているんだろうね」
「それはね、親は餌を探し求めて、まだ幼い我が子を巣に残して働いているんだよ」
「ふーん、だから、母ちゃん、いつもいないんだね。父ちゃんは、でも、いつも家に居るよ。父ちゃんは、働かなくていいの。いつも、部屋でグータラしているよ?」
「いいの、父さんはね、夜、しっかり、働いてもらってるから」
「?????」
(「カラスのことあれこれ」より)
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