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2009/01/27

ビアズリー 瀬戸際のエロス

 鑑賞するとは、一体、どういうことか。眺めていること? 離れて、それとも間近から? 手にとってその手触りを確かめること?
 陶芸作品や彫刻作品などなら、そんなこともありえようが(実際には、触って楽しむことを許してくれるような展覧会など極めて稀。目の不自由な方向けとか、子供向けにたまにそんな機会があったりする。思うに、大人だって、触りたい!)、まずは一定の距離を保って眺めることになる。
 無論、その作品と眺める我々との距離感の問題、作品が要求する距離感といったものはある。

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 絵画作品を間近でマジマジと細部を観察するのも時には大事だったりするが、画家は、描きながら、画架の上の作成途上の作品を、時折、距離を置いて全体像や構図の具合などを眺めて確かめる。
 ほとんど常に、乃至は圧倒的な時間、作品の間近にあるのは、画家(とコレクター)の特権なのである。

 鑑賞するとは、一体、どういうことか。作品を眺めることか、作品と一体になることか、作品に触発される想像の世界に没入することか。

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2009/01/14

寒梅の雪を払いし鳥の声

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寒梅の雪を払いし鳥の声

煩悩を数えしうちに夢の中

寒雀身を寄せ合って春待つか

白き家主決まるも波高し

減税より給料欲しい年の瀬だ

肩たたき望むところだ肩こりだ

肩たたきされてみたいよ仕事くれ

ツワブキの萎れし花に小雪舞う

梅の枝の止まりし鳥の声も濡れ

雪掻きの音に紛れて屁せし朝

雪解けの雫の行方君と見し

障子戸や影もおぼろに雪明り

 === === (以下、09年作) === ===

門松の歌声聴くも姿なく

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2009/01/06

球体鏡の中の美

 美を手中にした(かのような幻想に囚われた)者は、美を眺める。
 眺める、観るとは、触ること。絡むこと。一体にならんとすること。我が意志のもとに睥睨しさること。美に奉仕すること。美の、せめてその肌に、いやもっと生々しく皮膚に触れること。撫でること、嘗めること、弄ること、弄ぶこと、弄ばれること、その一切なのだ。

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 やがて、眺める特権を享受したものは、見ることは死を意味することを知る。観るとは眼差しで触れること、観るとは、肉体で、皮膚で触れ合うこと、観るとは、一体になることの不可能性の自覚。絶望という名の無力感という悦楽の園に迷い込むことと思い知る。

 観るを見る、触る、いじる、思う、想像する、思惟する(本書は思弁の書なのだから、思弁も含めたっていい)、疑念の渦に飲み込まれること、その一切なのだとして、見ることは、アリ地獄のような、砂地獄のような境を彷徨うことを示す。

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2009/01/04

初夢

 何か分からないものが目の前にある。それとも真後ろにある。すぐそこにあることは分かっている。なのにそれが何かが分からない。
 いやそうじゃなくて、あるものは何かが分かっているけれど、それが一体何処にあるかが分からないのだろうか。靄が懸かっている。そう靄なのかもしれない。ただ、その靄がこの世界一帯に漂っているのか、それともオレの脳裏に巣食っているのかが確然としないだけなのかもしれない。

 網が見える。透明な紫の地色の水晶体を縦横に真っ赤な血の網が駆け巡っている。管は方々で瘤になったり、壁が痩せ細っていたり、中には裂けてしまって、水晶の湖に赤紫のゼリーが溶け出してしまっている処もある。

 脳髄の血管がぶちきれてしまったのだろうか。それとも神経という名の蜘蛛の糸が絡まり縺れ合っているのだろうか。吐き気がする。戻したい。でも、戻すものが何もない。胃の腑がパサパサに乾涸びている。徒にヒクヒク痙攣するばかりで、その哀れな様を見ることが叶うなら、滑稽極まりないことだろう。

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2009/01/03

雪の轍(わだち)

 大晦日の街道を一台の自転車が走っていく。
 国家の一大事じゃあるまいに、あの慌しさはどうだ。

 雨のせい? 雨が雪に変わりそうだから?
 ほらほら、雨が霙(みぞれ)に変わってしまった。

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 霙?と思う間もなく、あっという間に霙が霰(あられ)に変わった。

 急激に寒気が下界を埋め尽くそうとしている。
 シベリアの冷たい怒りが鬱憤晴らしに僻遠の島までもを飲み干さんとしている。

 ジャケットを帽子を手袋をズボンを自転車のハンドルを小さな雪の礫(つぶて)がぶつかる。
 風のせいで傘など役に立たない。

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