松川にて
家にいる気になれず、あてもなく外に飛び出した。
仕事にあぶれている俺。みんな優しくて、労わりの目で俺を見る。それが尚のこと、居たたまれない気分にさせる。年老いた父が畑で草むしりをしていた。その痩せ細った背中が、俺を責めているように感じられてならなかった。手伝えばいい。それだけのこと。でも、俺は逃げるようにその場を立ち去った。
春四月も五日となっていた。
子供や学生たちなら、そろそろ学校が始まる頃か。時折、行き交う零れんばかりの笑顔の女の子たちの様子を見ていると、何となく憂鬱になってくる。
いつの頃からか、春というと、新陳代謝という言葉を思い浮かべてしまうようになっていた。新鮮な細胞がドンドン芽吹き、圧倒するような速さで増殖し成長する。その勢いに押し出されるようにして、俺のような無能な人間は、隅っこへ、枠の外へと追い詰められていく。
土の匂いが鼻を突く。草木はムンとするほどの生命力を溢れさせている。冬の間は姿を見せなかった虫たちが、あちこちで蠢きだす。
なのに、俺の唇は乾き、腰は痛み出し、足取りは重くなる。
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