放火魔
真夜中の病室。隣り合う人たちも、ようやく眠りに就いている。
看護の人も先ほど見て回って行ったばかりである。
静まり返った病室での楽しみは、こっそり蝋燭に火を灯すこと。
蝋燭の焔は、今日は真っ暗闇の中に何を浮かび上がらせてくれるだろうか。
そもそも闇の中でポツンと立つ蝋燭が何かを照らし出したとして、それが何か意味を持つのだろうか。
誰もいない森の中で朽ち果てた木の倒れる音というイメージと同じく、病室という名の、誰も見ていない闇夜の地蔵堂に立てられた蝋燭の焔の織りなす影は、ある種、夢幻な世界を映し出していると、ほとんど意味もないレトリックを弄して糊塗し去るしかないのか。
夜の深みに直面して、何を思う?
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