夢の話・二題半
最近、よく夢を見る。
というより、大概は就寝中に仮に夢を見ていても目覚めた瞬間、シャボン玉の弾けるように、呆気なくパッと消え去ってしまう。
せいぜい、シャボン玉の表面の虹の七色めいた、夢の印象の欠けらが脳裏の片隅に残るだけなのが、この頃は、目が覚めても、夢の全体というわけではないものの、かなりの部分を覚えている、ということなのかもしれない。
といっても、夢の内実がスッキリ見通せるというものでもない。多くは不分明なままに、脚本家のいない、演出過剰な、あるいは役者の独善的な演技ばかりが目立つような、それでなければ、舞台の背景などの雰囲気ばかりが濃厚な、そんな掴みどころのないストーリーの見えない<ドラマ>が展開されていく。
小生が夢を多く見るときは(目が覚めても覚えている時は)、体調が何処かしら不調な時だったり、実生活において先の展望が見えない、人生の選択肢をどちらかを選ぶことを強いられる状況にあって迷っている時だったりする。
恋に苦しんでいる時にも夢を見ることが多くなるってこともあるかもしれない。
いずれにしても、自分でも自分の心の全貌が見えるわけではなさそうである。
とにかく、夢で目が覚めるという現実がある、それだけが事実なのである。
(12月1日の午前に見た)「夢の話」
オレは何処かから(多分、東京から郷里の家に久しぶりに)帰ってきた。
夕方だったろうか。既に暗くなっている。木造の古い家。
庭に入って見ると家の奥から明かりが漏れている。橙色の灯りが弱々しい。
家の玄関の脇の縁側近くに三人がやや蹲(うずくま)るようにして座っている。
真ん中に老いた母。両脇には同年輩か母よりはやや若い女性。
ひと目見て(外見からなのか、直感でなのか分からないが)、新興宗教の信者だと分かる。
オレはそんな得体の知れない宗教団体に加入しているのが気に喰わない。
どうしてそんなものに加入してしまったのか…。
お袋を二人から引き離そうとする。
二人は一瞬、オレを睨んだような気がするけれど、抵抗はしない。
母は……。
母を二人から引き離そうとする、新興宗教団体から抜け出させようとする。
でも、オレは母に強くは言えない。
何故って、あまりに長く、母を一人ぼっちにさせておいたから。そう、母を孤独の淵に追いやったのはオレのせいなのだ……。
母は、それでも黙っていて、肩を抱いて家の中に連れて行こうとすると、オレのなすがままにされている。
内心はオレに言いたいことがあるに違いない。
でも、思ったことをそのままに喋るようなお袋じゃない。
後ろめたいのはオレなのだ。
どうしてそんなに長く放って置いたのか。
(夢の途中の記憶がかなり飛んでいる。あるいは一旦、目覚めたが、すぐにまた寝入り、まるで先ほどの夢の続きかのように夢の世界に居たのか…。ただ、田舎の家に夢の中の小生が居ることは確か。)
家の外は雪。屋根から落ちた雪や掻き寄せた雪が積もって人の背丈ほどもある。
毎年のことだ。
オレは雪の中に埋れている(?)。
そこへ三人の人がやってきた。見知らぬ連中ではない。顔見知り(目覚めた時、誰だったのか忘れた)。
オレは彼らに顔を合わせたくない(何か、隠し事があったのか…)。
だから、積もった雪の小山に身を潜めていたのだ。
が、三人(のうちの誰か)はオレの存在に気がついた。
身の置き所のないオレ。内心の戸惑いを曖昧な笑み(照れ隠し)で誤魔化す。
でも、彼らはオレの戸惑いの訳を知っている。
仕方なく家の中に(彼らと一緒に?)入る。
家の中には母や姉らもいる。父もいる(?)。
オレは家の中で居場所がない。居たたまれないのだ。
(残念ながら、このあとも続いていたが、もう忘れた。肝心な結末部分の記憶が欠落している。覚えていたくなかったのか…。)
[ちなみに、母に限らず我が家の誰も新興宗教に加入したことはない。浄土真宗の檀家となっている(らしい)。]
=== === === === ===
「Nさんを巡っての夢」 (12月2日に見た夢)
今朝、十時頃、目覚めた時の夢。
オレは、何かのダンスのレッスンに通っているらしい。多分、ベリーダンス(パラパラかもしれない。分からない)。
そして、今日はレッスンの日。
何処かのホールのような広くて天井の高い空間。
オレはそのホールの中二階のような場所でレッスンの始まるのを待っている。
しばらくすると、練習生らが数人、集まりだした。
やがて、おお、Nさんが来た。
憧れの先生…というより、密かに思いを寄せている。そう、Nさんに会いたいがためにレッスンに通っているのだ。
でっかいホールの高い中二階からNさんを見おろしているんだけど、彼女が輝いて見える。
青っぽいドレスを着ているNさん。
そろそろ腰を上げるか…。
すると、そこへ女の子たちが二人(か三人)やってきた。Nさんに話しかけている(逆で、実際はNさんがわざと女の子たちに声を掛けたのかもしれない)。
小学校に上がるか上がらないかくらいの少女たち。
ああ、やめてくれ! オレは胸の中でそう叫んでいる。
女の子たちは飛び入りでレッスンを受けようというのだ。
レッスンするステージが広いホールの一角にある。そのステージはフロアーからやや(十センチほど?)高くなっていて、そのレッスンステージに登れる人の数は決まっている。
さっきまでオレのための場所が空いていたのだ。
オレはそこに立つはずだったのだ。
でも、Nさんは、その子たちをニコニコとステージの空いている場所に誘い上げて、とうとう練習を始めてしまったではないか。
Nさんはオレのレッスンの日だってこと、知っている。
でも、綺麗に忘れている(敢えて無視している)。オレがホールの片隅から見つめていることを知っているくせに……。
オレの居場所がなくなってしまった……。
(夢はここで終わったのか、それともその続きがあったのか、忘れちまった。)
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