« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2007/10/30

自明性の喪失

[以下は、小生の手になる書評エッセイ(からの抜粋)である。途中からはもうまるで書評でもなければ感想文でもなく、無手勝流の想像が闇の時空を舞い狂っている!]

 が、小生は、そんな用語などすっ飛ばして、もっと直感的に、さらに言えば、共感を以って『自明性の喪失』を読んでいた。否、その中の患者の症例に身につまされるものを実感していたのだ。
 観念連合の弛緩といい、現実との生ける接触の喪失といい、あるいは自明性の喪失という曖昧な、しかし他に表現の方法のないある心の事態。

2005_1206

 現代においては、精神医学が発達して、かなりの精神的な病が投薬などで治療ないし対処されることが多いらしい。また、精神的な疾患などというものは、所詮は脳の先天的な異常か、いずれにしろ脳内の不具合に帰着するに違いないと見なされている。
 癲癇にしろ、病には違いないのだろうし、その発作がなんらかの肉体的異常(それがたまたま脳内の部位に局在しているだけのこと)の精神的な発露・爆発なのだろうと言われれば、それはそうなのだろうと、一応は認めるしかない。

 ここで気になるのは、肉体的異常の結果、では、その人がどのように振る舞うか、あるいは場合によっては精神的所産を為すのかどうかは、全く理論的には整合的に説明できないだろうという点である。

続きを読む "自明性の喪失"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/29

夜という海

[()本作は、「Mystery Circle 10-27締め切り分出題」参加作品です。主旨などは、末尾を参照願います。(07/10/29 記)]


夜という海


「また長い夜になる…。」

 彼は誰にともなく呟いた。
 一人きりの部屋なのに、彼は誰彼の顔が思い浮かぶと何か言葉を掛けないと気がすまない。

2006_04050604040063

 返事はない。
 あるはずがない。
 それは彼にもわかっていた。
 語りかけた言葉が薄暗い部屋の中に呑み込まれるようにして消えていく。
 いっそのこと、消えていった言葉を追いかけていこうか…。そんな衝動に駆られることさえ彼にはあった。

続きを読む "夜という海"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/10/24

新作駄洒落ネタの数々

 あるサイトに「夏目漱石が風呂に入ったらぼっちゃんという音がした」という一発ギャグが披露されていた。漱石好きな小生、せっかくなので、過去に読んだ作品を織り込む駄洒落を作ってみた(作品名、分かるよね!):

漱石の枕は……臭い枕
漱石がなりたかった職業は……坊さん
漱石は大学教授だった……吾輩は公人である
漱石は誰でも知っている……有名人や
漱石は憂鬱症だった……悲観過ぎまっせ
漱石が浮気を噂された相手とは……カラスとの仲
漱石が好きな果実は……ナツメ
漱石が外国から攻撃された……ソ連から
漱石が好きな食べ物は……豆腐
漱石が悩んで……悶々

続きを読む "新作駄洒落ネタの数々"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/06

闇に浮ぶ赤い花

 何年か前の秋口のこと、タクシー稼業で<経験>したちょっと怖かった話をする。
 但し、一瞬、錯覚したというだけの話である。

 日付はとっくに変わっていた。
 何処かの出口で高速道路を降り、市街地を走っていた。
 高速道を走っていた間は姿を見せていた月影も街道を走り始めた頃には隠れてしまった。

2006_08140608140014

→ 月影が雲間に次第に呑み込まれていく。

 お客さんの指示に従い、幾つかの角を曲がる。いつしか住宅街を通り抜け、林というには繁りの分厚そうな木々の立ち並ぶ道を走る。
 
 街灯も古い白熱灯が点々とあるだけなので、闇を照らし出すヘッドライトが唯一の頼りという気になってくる。
 人影などあるはずもない。
 ああ、何処まで行くのだろう。人気のない道を何処までも走る、いつの間にか自分が得体の知れない世界へ引き込まれていくような、闇に飲み込まれていくような感覚を覚え始めている。
 運転しているのは自分。そう、ハンドルを握っているのは確かに自分なのだ。
 けれど、行く先を決めるのは自分の意志ではない。

続きを読む "闇に浮ぶ赤い花"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »