« 疑心暗鬼 | トップページ | 水母・海月・クラゲ・くらげ… »

2007/04/03

「光陰矢の如し」の周辺

 先日、またまた光陰矢の如しという諺が浮かんだ。但し、小生のことである。そんなに深い感懐に浸ってのことではない。
 念のために断っておくが、またまた…浮んだのである。たまたま…浮んだのではない!

 ま、確かに今年も既に早くも8月を迎え、この夏をなんとか乗り切ると、秋が待っている。秋が来ると、秋の日は(笑福亭)鶴瓶落とし…じゃなかった、釣瓶落とし、一気に冬が来て、債権者達が大口を開けて待つ師走がやってくる。
 つまり、今年も終わりになるのである。

 しかし何もそんなに急ぐことはないだろう。

 この歳になると確かに歳月の過ぎるのがやたらと早く感じるものだが、しかし、同時に体力の衰えもあり、年を越せるかという前に、そもそも夏を乗り切れるかどうかだって怪しいのである。
 時間の過ぎるのが早いと嘆く前に、とにかく日々を生き延びるのが先決だというわけだ。

 さて、しかし、小生、繰り返しになるが、そんな含蓄深い人生訓の類いをここで述べようと思ったわけではない。滋味ある読み応えのある文章だという自信があったら、エッセイの部屋に書く!

 実は、光陰矢の如しという諺を聞くと、前々から、すぐに碌でもない駄洒落が浮かんでならないのである。言うまでもない。そろそろ吐き出しておかないと、憤懣が溜まりすぎ、欲求不満のあまり、脳味噌が腐ってしまいそうな気配さえ、漂ってきたのだ。
 そう、小生が連想してならない駄洒落の数々とは、光陰が荒淫に繋がり、荒淫やりすぎの如しとか、荒淫サルの如しとか、まあ、そんな類いである。

 先に進むに当って、まずは、こんな駄弁を弄するに当たっては、前提として、光陰矢の如しについて、正確な意味合いを理解しておかなければならない。
 本人としては、こんな諺など、当たり前のもので、わざわざ調べるに値しないと思うし、本稿を読まれる方々は小生よりもはるかに教養深いわけで、そんな余計な手間など経る必要などないと判断されるに違いないと分かっているのではあるが、そこはそれ、である。
 そう、万が一、分かっているようで、勘違いしている可能性だって絶対にないとは誰にも断言できないはずである。

 よって、広辞苑で意味を調べてみる。
 小生は手元に必ず広辞苑を置いている。何といっても、書く内容については保証の限りにあらざるのだから、せめて使っている言葉の意味合いだけでも正確を期したいのである。

 さて、広辞苑によると、「月日の早く過ぎゆくたとえ」とある。
 こんな時ほど、がっかりする時はない。広辞苑なら、小生をおっ! と言わせるような学識に満ちた深い説明があってしかるべきではないか。それがこれでは、何のための辞書か分からないではないか。

 しかし、内心、誤解していなくてよかったと、ホッとしているのも事実ではある。

 そうはいっても、広辞苑には一つも用例が載っていない。
 となると、ネットの出番である。
 小生は、「光陰矢の如し」の用例をネット上で検索してみようと思ったのである。時代はネットなのだ。
 言葉の意味というのは、ヴィトゲンシュタインではないが、用例に尽きるのである。用例を完璧に駆使しえるようになって初めて言葉の意味を理解したと言えるのだ。

 と、その前に、大事なことを忘れていた。「光陰矢の如し」の中の「光陰」とは何か、どういう意味なのかを理解しておく必要があるということだ。今度も、「広辞苑」で調べる。すると、(「光」は日、「陰」は月)とした上で、「月日、歳月」と説明されている。
 こうして小生が作った駄洒落を示そうと思ったが、せっかくなので、念には念を入れようと、「光陰矢の如し」と「荒淫」をキーワードにネット検索してみた。こんな組み合わせのキーワードで検索されるとは、検索ソフトさんも想像されなかったろうなと思いつつ。

 検索してみて、やってよかったのか、悪かったのか、そもそもこんなことに時間を費やすのが間違いだったのか、小生には俄かには判断の付きかねる結果が待っていた。
 世界は広いことを実感する羽目になったのだ。

 そう、世界では既に先人がいたのだ。
 が、そこはそれ、そんなこともありえないではないと、小生、極力、冷静さを保つよう自分なりに努めたのである。
 それにしても、これほど多くの先人がいるとは、何と言うか、目に余るものをさえ、小生は感じた。
 もっと他に考えることはないのかよと、苦言を呈したい気分になったりしたのである。
 しかし、目にしてしまったものは仕方ない。
 人のことは言えたものではないし。

「光陰矢の如し」に引っ掛けた言葉遊びというか、駄洒落というか、語呂合わせというか、ま、呼び方は人それぞれとして、小生の想像を超える遊びの世界が広がっていたのだ。
 もう、恐らくはこの駄文を、じゃない、小論を読まれる方は、早く実例を示せと、鵜の目魚の目蛸の目になって待っておられるのをひしひしと感じている。

 では、早速、実例の数々を以下に示そう。
 但し、小生が果たすのは実例を示す役割だけである。遊びの内容の如何に遺憾を示さないで貰いたい。この点は予め断っておきたい。
 小生に苦情を持ち込まれても困るのである。学問は中立公正を以って至上とするのである。自分の都合の悪い実例が示されても、内心はあれこれ思うことがあっても、小生の姿勢を見習って、最後まで冷静さを保ってもらいたいと、切に願うものである。
 では、いざ。

 と、その前に、再度、念には念を入れる意味で断るが、以下はネット上で発見した「光陰矢の如し」に「荒淫」を懸けた言葉遊び・発想の遊戯の実例の数々である:

 荒淫夜の毎し 
 荒淫ではなく。口淫でもない。
 工員矢野元司
『皇胤やんごとなし』 だと皇室アルバムだし、『荒淫猿の如し』だとトゥナイト2「荒淫矢の如し」という筒井康隆のネタも云々
 荒淫夜の如し

 この中では、筒井康隆氏の「荒淫矢の如し」が、氏のせっかちな夜の光景がしみじみと思い浮かんできて、さすがは筒井康隆氏だ、卓抜な表現であり、この上ない諺の換骨奪胎だと、改めて氏の力量に感服した次第である。
 これでこそ、文学者の鑑(かがみ)、小生の手習い鑑たるに相応しい人物である。

 ただ、そうはいっても、小生を心底唸らせるような傑作には、残念ながら出会えなかったのも悲しい事実である。
 ま、考えようによっては、「口淫矢の如し」などなど、後人にも努力の余地が残っているということではある。この稿を読まれた心有る方には頑張ってもらい、先人を乗り越えてもらいたいものだ。

 今、気づいたのだが、荒淫の意味は分かっているよね。わざわざ説明する必要はないよね。まして「広辞苑」にこんなことでまたまたお出ましを願う、そんな恐れ多いことはしたくないのだし。
 でも、念のため老婆心ながら説明しておくと、「荒淫」とは「過度に色事にふけること」なのである。 

 力点が、「過度に」にあることは言うまでもないだろう。色事にふけるだけなら、世間並みのこと、特段、語るに値しない。
 まさか、「色事」とは何かを説明する…必要もないだろうね。大概の人が願っていてやっているか、願っていないのにやる羽目になっているか、願っていてもやれないでいるか、願いもしなければ、やりもしない、そのいずれかのことなのだろう。
 間違っても、色即是空とかニュートンの色彩理論とか、クオリアとは何ぞや、てな訳の分からん屁理屈を持ち出さないで欲しいものである。

 番外だが、2ちゃんねるの掲示板に下記のような例が見つかった:

 荒淫矢野如し

 この意味がよく分からない。荒淫したら矢野氏の如くなるということだろうか。あるいは矢野氏のように激しく荒淫するということ? そもそも、矢野さんって一体、何処のどなたなのか。さすがに2ちゃんねるは奥が深いと訳もなく感じ入った。

 さて、「荒淫矢の如し」を言外に示唆していることを一つの素養として「光陰矢の如し」なる言葉を読むならば、ある意味、色即是空、世の無常を教える実に含蓄ある言葉だと改めて痛感するのである。

( 03/08/04に作り、03/08/06ホームページアップ済みの稿を一部手を加え07/04/03アップ)
[ このたび、目出度くも、「光陰矢の如し」で遊んだ事例に、本日、下記が加わりました。やいっち(弥一)作です。小生の駄洒落や駄文の論旨にやや強引さが見えるから、という意味もないわけではないので、少々辛いところもあるけど、ま、らしくっていいかも:
 強引弥一の如し     (07/04/04 記)]

|

« 疑心暗鬼 | トップページ | 水母・海月・クラゲ・くらげ… »

駄文・駄洒落・雑記」カテゴリの記事

妄想的エッセイ」カテゴリの記事

コメント

やいっちさんのお話は(お話?)は落ちも決まって面白いですね。
荒淫がわからなかったから注意書きがあって助かりました(笑)
光陰矢の如しは私も普通に考えることでしたけど、
そこから広がる世界は深い物があるのだなぁ〜と思いましたよ。

それと、事後承諾になりますがやいっちさんのブログ、
私のにリンクさせてもらいまいました。
雰囲気ある話が好きです。ではまた。

投稿: shin | 2007/04/06 12:31

shinさん、来訪、コメント、ありがとう!
リンクも光栄です。

小生の記事は思考過程がそのまま文章になっていることがおおい。話の脱線振りを辿ると小生の人間性も分かる、かも。
でも、なんとか最後に強引にでも結論を出す。
それこそ、強引、やいっち(弥一)の如し、です。
小生としては、結論も大事だけど、読む過程そのものを楽しんでもらえるような文章でありたいと思っているのです。
なかなか、そうはいかないので、取りあえずは、書いている本人が楽しめるってことが一番かもしれない、なんてね。

投稿: やいっち | 2007/04/06 17:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「光陰矢の如し」の周辺:

« 疑心暗鬼 | トップページ | 水母・海月・クラゲ・くらげ… »