探している。
一つの答えを。それとも終わりへの糸口を。

何もかもを捨て去りたい。忘れ去りたい。
目を閉じて、心をも閉ざして、そうして見えてくるものは、形にならない塊。
あれは猫なのか? 白い猫なのか!
いや、蛾だ。鱗粉を撒き散らす蝶だ。
狸もいるし、雀もいる。
お爺ちゃんが目を真ん丸にしてこっちを見ている。
機関銃の銃身を捻じ曲げてでも、こっちを狙っている。
ああ、なんて賑やかなんだろう。まるで、今まで見てきた悪夢が一度に現れたみたいだ。
焦がれる心が潤いをなくして、今にも蒸発しそうだ。
会いたいという思いが火となって時空を焼き尽くそうとしている。

探しているんだよ。そう、あなたなら分かるはずだ。何を探しているかをね。
泡の中に封じ込められた思い。無数の泡たちが宙をふわふら飛び交っている。
ぶつかったり、すれ違ったり。やがて、弾けて消えていく。
手を振っているの? それとも、さよならって告げているの。
出会ってもいないのに、もう、別れを告げてしまうの。
真っ青な喪服に身を包んで、誰の葬儀に参列しているの?
棺の中に横たわる、ウエディングドレスに身を包んだあの蒼白の人は、誰? あなた?
いつものように、ただ立ち竦んでいるのは、オレ?
表情が翳っているのは、素敵なティアラのせいなの?

淋しさは氷雨のように我が身を叩いている。あなたの冷たい指先の感触が忘れられない。
どうして凍て付いてしまったのか。
このオレを抱きしめて、そうして氷の微笑で刺し貫こうとでも?
身も心も迷子だよ。何も分からないんだよ。
答えは誰が知っているの?
吹き千切られたあの手紙の行方は、あの日の風だけが知っているの?
[本文中の画像は総て、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より。]
最近のコメント