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2025/05/05

エカ・クルニアワン 著『美は傷』…美は細部にあり

 ← 内庭(築山モドキ)と蔵との間の通路。この通路も苔庭風にしたい! (4日撮影 05/03 20:34)

 我輩の仕事上のスケジュールに土日も連休も関係ない。宛がわれた休日が休み。その休みは庭や畑仕事一色。春先までは落ち葉も雑草も影を潜めていたが、このところ植物たちの生命力に圧倒されている。せめて我が手のコントロール下にあるものをと、畑にナスやキュウリ、ミニトマトを植えた。十年近くぶりの収穫がなるか、ワクワクドキドキである。

日曜美術館 ジュアン・ミロ 自由を求める魂の音色 −NHKオンデマンド 」を録画で観てた。やはり好き。ミロやクレー…詩や音楽を感じさせる数少ない画家の一人。 (05/03 17:56)

 

 ← エカ・クルニアワン 著『美は傷』(太田 りべか 訳 春秋社) 「インドネシアの植民地統治、占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説と神話が渦巻くマジックリアリズム小説。」

 エカ・クルニアワン 著『美は傷』(太田 りべか 訳 春秋社)を3日(土)読了。傑作だ。本書の冒頭の一節を読み終わらないうちにこれは間違いないと実感させられた。実際、最後までだれることなく読み手を引き寄せ続けてくれた。

 2日の日記にも書いたが、500頁を超える大作だし登場人物が多くて、新しい人物が登場するたびに手元にメモ書きしていた。メモ片がとうとう四枚に渡った。吾輩は人物名やら人間関係を理解するのが苦手なので、弥縫策ではあるが面倒でも役に立っている。

 内容は、「インドネシアの植民地統治、占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説と神話が渦巻くマジックリアリズム小説。」と銘打たれているが、明らかにガブリエル・ガルシア=マルケスの、特に『百年の孤独』を意識した手法をかなり取り入れている。

 何処か明るいユーモアも欠けてなくて、深甚な内容のはずなのに、読み手を息苦しくさせないでくれる。

 さすがにアジェンデはともかく、マルケスほどはぶっ飛んでないが傑作なのは間違いないのはインドネシアの土壌に根差したユーモアのせいなのか。

 作者のエカ・クルニアワンは、「インドネシアを語る小説を書きたいという衝動があったんです。サルマン・ラシュディが『真夜中の子供たち』でインドを語り、ギュンター・グラスが『ブリキの太鼓』でドイツを語ったように。」と語っている。下記参照

 吾輩にとって今年一番の収穫候補になってしまった。 05/05 11:39)

 

 作者と訳者らへのインタビュー記事が見つかった:

「僕らには自国民の愚かさを笑い飛ばす権利がある」―エカ・クルニアワン×太田りべか | 特集記事 | 国際交流基金 - 次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」 :

「インドネシアについての小説を書きたいと思いついたとき、そんな時代に育った世代としての僕の一番の疑問は、いったいなぜわれわれはスハルトのような人物を生み出してしまったのだろう、ということでした。まあ、『美は傷』の中ではスハルトの名前をあからさまに出してはいないけど、その疑問こそが、あの小説を書いている間ずっと僕を突き動かしていたのです。僕が言いたかったのは、この国は暴力に満ちているということです。誕生して以来、この国は確かにひとつの暴力から別の暴力へと引きずられてきた。」(上記サイトからの転記)  (04/29 02:12)

 

 ← 裏庭の苧環叢 (3日撮影 05/03 16:20)

 エカ・クルニアワン 著『美は傷』(太田 りべか 訳 春秋社)から思いっきり飛んで数学…加藤 文元著『数学する精神 増補版-正しさの創造、美しさの発見』 (中公新書 )へ…せめて波打ち際へ! (05/03 16:20)

 

 ラジオ深夜便で、興味深い話(インタビュー)を聴いた。「本能寺の変」で有名な「本能寺」に絡む謎。語り手は、梅林 秀行氏 「京都の凸凹を歩く -高低差に隠された古都の秘密」の方。ブラタモリでも有名。

なぜ、織田信長は防御が弱い本能寺に泊まったのか【地形と地理でわかる京都の謎】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト」 吾輩が知らなかっただけで、この謎は昔から話題になっていたようだ。 (05/03 00:35)

12/18、NHK新企画『歴史探偵』に出演します!:あの「本能寺の変」を現場検証!? - 京都高低差崖会

 

 ← 内庭のツツジ。我が家のツツジは随所に。望むらくは白色のツツジがもっとあったらな。 (05/05 06:31)

 林 芙美子著『林芙美子紀行集   下駄で歩いた巴里』 (岩波文庫)…過日より読み出してる本書…

 昨日(日曜)は人の出は少なかった(富山)が、仕事は何故か忙しかった。本書は何とか40頁読めただけ。この作家の冒険心はなかなかのもの。「放浪記」のヒットで一躍流行作家になったその御褒美としての旅行なのかな。海外での心細い日々をよくぞ。

 巴里などから手紙を出しても、返事が来るのに何十日を要する。音信は船便。日本の情報からは取り残されてしまう。新聞などでは次第に日本の戦争(侵略)の活発化に評判を非難されていく。 (05/05 06:46)

 

 ← 新緑のカエデが素晴らしい! 庭にはちっちゃなカエデの芽吹きが一杯です。 (4日撮影 05/05 06:39)

 加藤 文元著『数学する精神 増補版-正しさの創造、美しさの発見』 (中公新書 )…自宅で読み出した本書。「数学する精神」なんて我輩には高邁過ぎる題材。それでも中学生の頃、数学に惹かれ、せっせと数学(算数)を扱う本を夢中で読んでた記憶が蘇ってしまう。宇宙と数学との関係。数学のセンスなど欠片もないのに。せつなくなっちゃう。 (05/05 06:38)

 町中を車で走ると、たまに「瀝青(れきせい)」なる看板が。意味が気になる:「れきせい【瀝青】 天然に産する炭化水素化合物の鉱物。例、固体のアスファルト、液体の石油、気体の天然ガス等。」……なるほど。 (05/02 23:25)

 

 ← 畑に植えたナスやキュウリなどの苗が無事か気になる。日々見守りに。収穫できるかな~ (05/05 06:51)

 林 芙美子著『林芙美子紀行集   下駄で歩いた巴里』 (岩波文庫)…昨日の仕事はやたらと暇だった…のだが、本書はなかなか読めず、40頁止まり。積極的というのか、日本でのにわか仕立てのフランス語で巴里の町中で買い物したり、アパートを借りたり。こういうのは勇気なのかな。 (05/03 20:34)

 テレビでの何かの訓練風景画像で。富山市に「割山森林公園・天湖森」があると初めて知った。天湖森って昔からの名前? (05/02 11:57)

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