竹にまつわるエトセトラ
← 嵯峨野竹林の小径
「とやまの竹の祭典2024in呉羽」が、「富山県呉羽青少年自然の家」にて開催されていた。「富山県の竹林保全について一緒に考えるイベント」であり、「県民に放置竹林問題を楽しく啓蒙できる内容」だったとか。
吾輩は残念ながら開催自体を知らなかった。知ったのは、「広報とやま12.5 No.472」の末尾に連載されている、富山市長である藤井裕久によるコラム「No.43 「日本人と竹」のお話」をたまたま目にしたからである。
話は興味深いもので、ドングリなどを使用した竹工作、竹炭作り、竹炭キャンプファイヤーといったコーナーの紹介など。藤井氏は、我々が身近に目にする代表的な竹として、真竹、淡竹(はちく)、孟宗竹を挙げ、真竹と淡竹は古くから日本に自生していたらしいが、孟宗竹は1736年頃に中国から伝来したらしいと書いている(この年代の根拠が知りたい)。
このイベントの開催地は、呉羽山である。桜の名所でもあるが、悲しくも荒れた竹藪も目についていた。里山整備の関心の高まりもあって、NPO法人らの尽力もあり、「放置され雑木や竹などが鬱蒼と生い茂っていた斜面が徐々に整備され明るくなった」という。
「日本人は古くから竹に親しみ竹を活用してきた。その用途は、建築では内外装材や壁の下地材、庭園では垣根や庭竹、生活道具では扇子や団扇、竹籠や暖簾、物干し竿など、実に多彩であった。茶道や華道の道具としても」利用されてきた。「子どもの頃は、自作の竹馬や竹トンボ、竹の釣竿などでよく遊んだものである。」と続く。
← かぐや姫を籠に入れて育てる翁夫妻。17世紀末(江戸時代)メトロポリタン美術館蔵。
「竹のまつわる話と云えば、かぐや姫が登場する「竹取物語」がある。」と語り、さらに「竹にまつわる苗字では、竹内・竹田・大竹・竹中などがある」と続く。竹馬の友・竹を割ったよう・破竹の勢いなどの慣用句の紹介もされている。
最後に、近年はプラスチックやアルミ材などに取って変わられ、竹は次第に縁遠い存在になってきた。その一方、「最近は、伝統や文化・芸術の力が見直され、天然素材を使用する機運も高まり、「竹」に対する評価が高まっていることはうれしい。「竹」の活用で竹の価値を高め、未来に繋げていければと結んでいる。
末尾に、恐らく、呉羽だろう地の整備された竹林の写真が載っている。
全文は(竹林の画像も):「はーとふるエッセイ (PDF 424.3KB)」
吾輩がわざわざ藤井市長のエッセイを長々と紹介したのは、たまたま、ウィリアム・ブライアント・ローガン著『樹木の恵みと人間の歴史―石器時代の木道からトトロの森まで』(屋代通子訳 築地書館)にて竹の話題を読んでいたからである。
せっかくなので「竹」絡みのエトセトラをメモって見る。
まあ、「竹の利活用推進に向けて 平成 30 年 10 月 林野庁」は紹介しておかないといけないか。さすがに充実している。
吾輩が真っ先に目についたのは、筍であった!
それはともかく、これを読んだらもう何も書くことがなくなってしまった。
伝統工芸品に茶道具類、竹刀、弓矢、尺八、笙、ひちりき、笛などまだまだありそう。
竹酢液には、恥ずかしい思い出がある。吾輩は、ある出店で、瓶入りのジュースらしいものを見つけ、早速手にしたら、隣で目にした方が、それどうするの? 飲み物じゃなよと云われた。吾輩は美味しそうな外見に目が眩んだのだった。
生活用品として、カゴ類、ざる類、扇子、うちわ、食器、照明器具、ほうき、額縁、梯子、椅子、物干し竿、和傘、洋傘、箸、串、櫛、提灯、物差し、行李、屏風、ついたて、すだれ…と続く。実に多彩だ。
孟宗竹は、上掲のエッセイでは、1736年頃に中国からとあったが、「竹の歴史/八女市ホームページ」によると、「食用タケノコの代表竹種となっているモウソウチクは中国からの渡来種で、元和元(1615)年、立花町上辺春の正光寺に辺春隼人助が中国から持ち帰って植栽して県内各地に広まったと伝えられています」とある。諸説ある?
「トーマス・エジソンの白熱電球と日本の竹 | August 2022 | Highlighting Japan」によると、「日本の京都府のタケの一種が、アメリカの発明家、トーマス・エジソン(1847~1931年)が手掛けた白熱電球*の商用化に重要な役割を果たした」とある。
「八幡竹は耐久性と柔軟性に富み、繊維が太くて丈夫、しかも引き締まっている。さらに、簡単に焼き切れることがない。エジソンは八幡竹をフィラメントとして使用し、連続点灯時間を1200時間にすることができた。その上、節と節の間隔がちょうど良い長さで、まさにエジソンが追い求めた最適のフィラメントであった。」これなどは知る人ぞ知るだろう。
「竹」の世界はまだまだ広がり深まりそうである。 (12/10 03:52)
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