ぬるま湯の茹でカエル
← 山本紀夫著『先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」』(角川ソフィア文庫) 「殺戮、奴隷化、疫病による大量死――先住民の悲劇とグローバル化のはじまり 南米アンデスをフィールドに農学と人類学を研究する著者が描く、もう一つの世界史。」
今年の忘年会シーズンは、昨年までとは大違いの盛況ぶり…とは言い難い。賑わうのは週末だけ、あるいは夕方から夜までだけ。しかも、夜半を回るとパタッと人影が疎らになってしまう。円安による物価高。スーパーでの買い物はビビるほど。コンビニでの買い物は吾輩は敷居が高い。ガソリン代も高止まり。政権は相変わらずこの30年のデフレ日本を現出させた連中が握ったまま。これではますます日本は落ち込んでいく。東南アジアや韓国や台湾より貧しい国日本。マスコミも国民も政権に怒らない? あるいは相変わらずバラエティ路線で、「ぬるま湯の茹でカエル」のままに衰滅していくのだろうか。 (12/19 13:51)
山本紀夫著『先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」』(角川ソフィア文庫)を19日(木)未明に読了。仕事の車中の待機中に読んできてた。残り10頁余りとなったので、自宅に持ち帰り、一眠りしての寝起きに読了と相成った。南北アメリカ大陸の先住民や欧米の侵略のテーマは吾輩の古くからの読書のテーマの一つでもある。が、情けなくも山本紀夫の著書は初めて。
なのでまず著者紹介から:「山本 紀夫:1943年、大阪府生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得退学。 国立民族学博物館名誉教授。 農学のちに人類学を専攻し、農学博士(京都大学)、博士(学術、東京大学)。1968年の学生時代からアンデスを中心に、ヒマラヤ、チベット、エチオピアなどの高地で50年あまりにわたって、環境と人間の関係の人類学的調査・研究に従事。著書に『ジャガイモのきた道 文明・飢饉・戦争』(岩波新書)、『トウガラシの世界史――辛くて熱い「食卓革命」』『高地文明――「もう一つの四大文明」の発見』(中公新書)など多数。」
本書の内容は、「コロンブスが15世紀に持ち帰った中南米原産のトウモロコシや、その後に伝わったジャガイモは、ヨーロッパの人口増加に大きく貢献した。他方、アメリカ大陸へ持ち込まれた疫病は、先住民の急激な人口減少を引き起こす。世界の食卓を豊かにした作物の伝播は、のちに「コロンブスの交換」と呼ばれるが、先住民にとっては略奪や侵略に他ならなかった。南米アンデスをフィールドに農学と人類学を研究する著者が描く、もう一つの世界史」というもの。
ヨーロッパや日本の飢餓の危機を救ったトウモロコシやトマト、トウガラシ、タバコ、サツマイモ、カカオ、ジャガイモは中南米産。そのジャガイモも、野性だと毒性が高い。それを先住民らは一万年の歳月の中で工夫を凝らし数多くの品種を生み出し、様々な環境でも栽培できるよう、食用に改良してきた。その成果を世界は享受している。
コロンブスらが<新大陸>へ馬や牛、豚、羊、山羊、ロバなどの旧大陸産の家畜を持ち込んだ。その齎した影響の話も興味深かった。
彼らが中南米に齎した天然痘などの疫病の甚大且つ深刻な影響も筆舌に尽くし難い。このことは、立川昭二の『病気の社会史』(岩波書店…吾輩は立川昭二の本を若い頃は特に読み漁っていた)やウィリアム・マクニールの『疫病と世界史』などでも学んできた。
最近では、フランク・M・スノーデン著の『疫病の世界史(上・下)――黒死病・ナポレオン戦争・顕微鏡』や、ジャレド・ダイアモンド著の『銃・病原菌・鉄 (上・下) 1万3000年にわたる人類史の謎』 (草思社文庫 )など。
トウモロコシの生産が盛んになり、その実旧大陸のものたちの持ち込んだ疫病や彼らによる大量虐殺で現地での働き手が不足し、アフリカ大陸から数千万もの黒人が奴隷(荷物)として連行され、長く苦しい遠洋航海を生き抜いた先では過酷な労働が待つばかり。欧米は虐待と植民地支配のあまりにダーティな歴史を反省しているのだろうか。
欧米が民主主義と正義を標榜している。その土台や背景には、あまりに分厚い罪の反省がある…と思いたいが、残念ながら彼らの民主主義とは今以て深く刻まれ現在進行している負の側面から目を逸らすための方便に他ならないのではと思えてならない。それはネタニヤフ政権のイスラエルの蛮行を強く支える支持している欧米の姿勢を観れば歴然としている。二枚舌は今も。
とにかく、本書の一読を薦める。 (12/19 13:27)
← ドレの挿画、サラダと一緒に旅人を食べるパンタグリュエル(Wikipediaより)
富山には、「えびすこ」なる店がある。カラオケ店のような、ま、若い人に人気の食堂。我輩にはあまりに聞き慣れない店名。好奇心で調べてみた。すると、「えびすことは、大相撲の隠語で大食い、または大食漢の力士のこと。」だとか。なるほど。だが、何故、「えびすこ」が大食漢なのか?
困った時のWikipediaである。「語源は、恵比寿講(えびすこう)の集まりでお腹一杯にごちそうを食べる風習があったことに由来しているとか、お腹一杯食べた丸いお腹がえびす様みたいであるからなど、諸説ある。」そうか、えびす講か。分かってみたらなんてことはない。近年は使われなくなっていたようだが、そこに美味しいラーメン屋などの店名の形で復権しつつあるのか。
大食漢というと、ガルガンチュアとガリバーは有名だろう。巨人を主人公とする物語に登場する人物である。 (12/18 05:05)
このところ車中の待機中に読んでいる山本 紀夫著『先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」』 (角川ソフィア文庫)にて、参考文献の中にジュリアス・レスター著『奴隷とは (1970年)』(岩波新書)に再会。高校生になりたての頃に何故か読んだ。半世紀ぶりに本書を手にしたい! 何故本書を当時手にしたのだろう? 当時、あるいは本書の中の挿画なのか、奴隷の横向きの姿を模写(?)したっけ。本書もだが、その絵も書庫を漁れば見つかるかも。 (12/19 09:30)
岡潔著『春宵十話』…高校生の頃単行本で読んだ。書庫を漁ったら見付かるかな。当時、「春宵」が読めず、勝手に強引に「はるよい」とモゴモゴ読んでいた…のは内緒である。不勉強な我輩のこと、敢えて調べたりもしなかったような。ちゃんと読めるようになったのは、十年以上も経ってから。
それは、添付した画像の絵を国立近代美術館で観た時初めて。
絵の描き手は、松林桂月であり、絵の題名は「春宵花影図 」である。この絵に見入ってしまった。売店で複製画まで買ってしまった。これは、「しゅんしょうかえいず」と読む。そう、初めて「春宵(しゅんしょう)」と読めたのであった。目出度い。パチパチパチ。
翻って、岡潔の「春宵十話」も、あれは「しゅんしょうじゅうわ」と読むんだと判明したのである。
幸いにして、「春宵十話」が誰とも話題にのぼることはなく、従って「春宵十話」の名を口頭で口にする危機に見舞われることもなかった。不幸中の幸いと思うべきか。 (12/18 14:23)
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