『万物の黎明』は、「人類史を根本からくつがえす」書
← デヴィッド・グレーバー/デヴィッド・ウェングロウ著『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』(酒井隆史/訳 光文社) 「人類の歴史は、これまで語られてきたものと異なり、遊び心と希望に満ちた可能性に溢れていた。」
自宅では、中沢新一著の『精神の考古学』(新潮社)とリチャード・パワーズ作の『惑う星』(新潮社)とを交互に。中沢の本は自分には全く入り口の見出せないジャンルの本で読みながら戸惑うばかり。後者は、『黄金中変奏曲』に圧倒された作家の本。やはり深い。 (04/12 03:38)
デヴィッド・グレーバー/デヴィッド・ウェングロウ著の『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』(酒井隆史/訳 光文社)を10日(水)に読了。
著者の一人文化人類学者デヴィッド・グレーバーは、かなり評判を呼んだ『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』の著者としても有名で本書が出る頃には惜しくも亡くなっていた。つまり彼の遺作である。
何の素養もない吾輩だが、書店で本書を目にして手にしパラパラ捲って読みごたえありと感じた。分厚い。本文(2段組)だけで600頁近い。さらに訳者による解説が充実していて40頁ほど。参考文献が膨大。ソフトカバーで5500円。ハードカバーだったら七千円近かった?
考古学や人類学についてもミーハーの吾輩、ハラリの『サピエンス全史』『ホモデウス』やダイアモンドの諸著はこれまで読んできた。が、本書によると、これらは尤もらしいが、所詮は彼らは考古学や人類学の専門家ではなく、断片的知識を切り取ってきて、既存の歴史観に都合よく嵌めこみ物語化したに過ぎない。「この本は、文字記録のない時代における人類の生活や社会の実態を探求し、我々の祖先がどのように暮らしていたのかを新たな視点から考察してい」る。
T・ホッブズの『リヴァイアサン』とJ・J・ルソーの『人間不平等起源論』についても遡上に乗せ、新たな視座で見直しを迫っている。訳も分からず学生時代、ホッブズなどを読んだものだが、こんな読み方があるのかと驚かされた。
「農耕や国家の選択が可能な状態に達しても導入せず敢(あ)えて余暇を楽しんだ、もしくは実証実験を繰り返した創造的な人々が我々の祖先だ、というのだ。重度の低身長症者を共同体で丁寧にケアし、埋葬した1万年前の例も挙げられる」など、本書は一言で言って、自由と可能性の書だ。
現今の文明の在り方は決して歴史の必然ではないと語りつくしてくれている(「『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』(光文社) - 著者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ 翻訳:酒井 隆史 - 松原 隆一郎による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS」参照)。
ドラマチックなほどに面白かったのは、「サピエンスは発生時から現代人と同じ脳だったはずなのに、何万年もの間未開な狩猟採集生活のままだったのはなぜか、という疑問に対し、否、その黎明から多様な生活共同体、政治思想、世界的交流があったという。詳細な実証事例をもとにした論旨は社会進化論をはじめ近代啓蒙思想への批判である。逆に北米先住民のほうが西欧思想を批判し、当時の啓蒙思想家に大きな影響を及ぼしたのだという」点。
未開とされる狩猟採集生活にあって、実は女性らの果たした役割の大きさにも縷々語られている。これも瞠目すべき説だった。
とにかく副題の「人類史を根本からくつがえす」は伊達じゃなかった。
貼った付箋は数知れず。吾輩ごときが感想など書けない。よくぞ本書を見つけ出し手にし敢えて買って読んだと、自分を褒めてやりたい。
「「万物の黎明」 西洋の中心で文明観の反省迫る 朝日新聞書評から|好書好日」なども参考になる。(04/12 03:33)
書店にて不意に読みたい本登録していた前野ウルド浩太郎著『バッタを倒すぜ アフリカで』 (光文社新書)のことを思い出し、探すが見つからない。店員に聞いたら(調べてもらったら)、まだ発売してないって。えー、まだー? 前著の『バッタを倒しにアフリカへ』が面白かっただけに何とか読みたい。(04/11 17:55)
津田 左右吉著『古事記及び日本書紀の研究 新書版』(毎日ワンズ)を(も)買った。買うつもりはなかったが、店内をぶらぶらしてて書架の本書に目が合ったので。問題の書…曰くつきの本だしね。新書版とあるが、選書版だな。 (04/11 17:58)
ク・ビョンモ著『破果』(岩波書店)を買った。目につき、手にして中をパラパラ。韓国では評判の本らしい。読み応えありそう。さて。 (04/11 23:10)
← 「OECD加盟国のなかで、貧困率が8番目に高い日本 日本の不都合な真実 ~ 7人に...|イーズ 未来共創フォーラム」 今更ながらだが、情けないことにますます貧困率が高まっていることだ。国の政策が基本的に間違っていることを証左していないか?
昨夜だったか仕事の車中で何かのラジオを聴いてたら…脈絡もなく不意に明日は天気も良さそうだし、そうだ本屋へ行こうと思い立った。今日になってもその衝動は消えてなかった。ただ、天気はまずまずだが、用事が重なってる。まずは30日に一度の内科医院通い。スーパーでの買い出し、洗濯、ブログ日記、車へのガス給油など。未明に仕事から帰宅する我輩には、休日と言っても、生活のスタートは午後1時過ぎ。
面倒になって内科医院通いは翌日に。自転車を転がしてじゃなく、車で。書店では、店内の回遊ルートを逆回りに。いつもとは違うコーナーに滞留し、ちょっと気になる本に遭遇したり。
1ヶ月ぶりの書店。店員は例によって無愛想。笑顔は微塵もない。買い終わって気付いたが、ポイントが溜まってる。大概はポイントを使われますか?と訊いてくれるのだが、訪ねられずポイント利用は次回持ち越し。
年齢を重ねてきて無邪気には本は買えない。蔵書が増えるのは負担だし、老眼の度も進んでる。どうせ読む冊数は少ないし活字の大きめな単行本に手が出やすい。一方、仕事の車中には文庫か新書(活字少なめか大きめ)。それに今月から来月に懸けて相続などの雑用があれこれ。地震で傷んだ家屋をどうする? 建て替えも論外。何処かアパートへ? 読書どころじゃないんだな、実は。 (04/11 23:25)
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