徒労なる情熱それとも執念
← フォークナー【著】『野生の棕櫚』(加島 祥造【訳】中公文庫)「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」
自宅では、下記するリチャード・パワーズ著の『黄金虫変奏曲』(みすず書房)と、読み始めて一週間になるカール・エリック・フィッシャー著の『依存症と人類――われわれはアルコール・薬物と共存できるのか』(みすず書房)とを交互に。特に前者は今月中の読了は初めから諦めている。確定申告もあるし、他に深刻な課題もある…。
フォークナー作の『野生の棕櫚』(加島 祥造訳 中公文庫)を昨日19日に読了。本作については全く情報もないまま、書店で衝動買い。読み始めて圧倒的な想像力表現力にやられた。高校時代だったか無謀にも『響きと怒り』に手を出して半ばに達することなく挫折した苦い記憶が蘇った。
その後は、やはり二十歳代前半で読み通したもののむかむかするだけの読後感に終わった『八月の光』も含めてリベンジを果たしたが…。
内容案内によると、「1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」)1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」)二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。」とある。
フォークナー節炸裂。読後感というより日を追って二進も三進もいかない泥沼を転げるように這い回る男女の崇高と劣情の狭間…つまりは地上の生(性)の茫漠たる徒労を痛感させられてくるに違いない。徒労とは、得体の知れない何かへの無償で不可解な泥と血だらけの執念だろうか。
ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ…さらには大江健三郎や村上春樹の文学の大きな淵源だったんだと今更に気付かされる。吾輩の好きな中上健次辺りがあと数年でも生き永らえたらフォークナーの後継者たりえたような気がしてならない。 (02/20 13:20)
「壮麗な立山連峰とその手前で起きた“ある奇跡”に「撮る手が震えた」 トヤマとヤマトの共演」 (02/19 22:04)
← 上記の記事写真には立山連峰の雄姿が映ってない。これは恐らく同じ日に吾輩が別の場所で撮ったもの。二つの画像を重ねてほしい。
マリオ バルガス・リョサ著の『果てしなき饗宴―フロベールと『ボヴァリー夫人』』 (筑摩叢書) いまだに入手できてない! 19日に読了したフォークナー作『野生の棕櫚』の解説で言及されてて気づいた。 (02/19 18:01)
「実物より美しい!「中尊寺金色堂」を8K超高精細CGで再現した特別展がすごかった 」 (02/19 23:13)
昼行燈72「四次元の世界旅へ」(2024/02/20 未明) 創作。茫漠たる異次元空間に想像の翼を羽搏かせた挙句…。
昼行燈71「戻る場所はいつも…」(2024/02/20 未明)
リチャード・パワーズ著の『黄金虫変奏曲』(みすず書房)を読み出した。みすず書房フェアにて発見。分厚さに圧倒。二段組みの850頁。いきなりパワーズのマスターピースに登攀する無謀。でも、評判がね。
内容案内: 「たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。」
たくさんの方が既読 感想も。我輩はと云うと本書を手(目)にして初めてパワーズを知ったロートルビギナーズです。 (02/19 22:10)
(頂いたコメントに)もう読まれてるんですね。確かに人物相関図をメモるのは大事と実感してます。特に翻訳物はマストかな。ま、気長に読みます。 (02/19 23:17)
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