物質的恍惚と想像力
← G.バシュラール著『水と夢 〈新装版〉 物質的想像力試論』(及川 馥:訳 叢書・ウニベルシタス 898) 「詩句や神話に表現された水の想像力への「物質主義的」分析が、新しい文芸批評(ヌーヴェル・クリティック)の時代を予見させた記念碑的な著作。」
昨日は休日。所要も少なからずあるが、久々庭仕事かなと思っていた…が、いざ始めようとした四時に雨音。雨。これは天の呼び掛けと都合よく解釈し、それこそ久しぶりに読書三昧居眠り三昧で終日を過ごした。G.バシュラール著の『水と夢 〈新装版〉 物質的想像力試論』とイサク・ディネセン著の『アフリカの日々』 (河出文庫)とを交互に。実に充実した読書。吾輩の理解が及べばもっと濃密な読書体験となっただろうが、そこはないものねだりだろう。 (09/15 15:02)
G.バシュラール著の『水と夢 〈新装版〉 物質的想像力試論』を二週間余りを費やして通読。とてもじゃないが読んだ(理解できた)とは云えない。が、ひたすら想像力を刺激され続けた。本文もだが、詳細な原註・訳註も漏らさず目を通した。気になる文献などは手元のスマホでチェック。読みたい本登録の山が高くなった。おそらく大半は図書館か古書店に頼るしかないし、実際には目にすることもないだろう。
本書については、「詩句や神話に表現された水の想像力への「物質主義的」分析が、新しい文芸批評(ヌーヴェル・クリティック)の時代を予見させた記念碑的な著作」とあり、「原初の生命に力を与えた物質、水。かぎりない流動性をもち、海水にも淡水にも、泥にも乳にもなるこの生成のエレメントは、知覚し想像する人間に、ときには母の穏やかな幸福を、ときには冷たく孤独な死の危険をあたえる」とも。
解説が丁寧で人によっては初めに解説を読んで分かった気になるかも。特に本書は大半は第二次世界大戦前に書かれたものだが、従軍経験のある著者はナチスに侵略されているフランス(人)への声を上げることはできないとしても、文の端々に応援の意を籠めていると訳者は書いている。その点だけは、最後に解説を読んだのは惜しかったかなと思った。
二十年ほど前、ル・クレジオ(物質的恍惚)を念頭に置いてだが、ある小文を書いたことがある。その末尾の一文を抜粋して示す:
己がオンリーワンなのだとしたら、同じ権利を以って、地上世界の物質粒子の一粒一粒の全てがオンリーワンのはずなのだ。虫けらも踏み躙られる雑草も、摘み取られる花も、路上の吸殻も、壁の悪戯書きも、公園に忘れ去られた三輪車も、ゴミ箱に捨てられた雑誌も、天頂の月も星も、その全てがこの世の星であり光なのであり、つまりは物質の変容なのだ。
自分が消え去った後には、きっと自分などには想像も付かない豊かな世界が生まれるのだろう。いや、もしかしたら既にこの世界があるということそのことの中に可能性の限りが胚胎している、ただ、自分の想像力では追いつけないだけのことなのだ。
そんな瞬間、虚構でもいいから世界の可能性のほんの一旦でもいいから我が手で実現させてみたいと思ってしまう。虚構とは物質的恍惚世界に至る一つの道なのだろうと感じるから。音のない音楽、色のない絵画、紙面のない詩文、肉体のないダンス、形のない彫刻、酒のない酒宴、ドラッグに依らない夢、その全てが虚構の世界では可能のはずなのだ。
そんな夢をさえ見させる真冬の月は、なんて罪な奴なのだろう。
尚、バシュラール著の『水と夢』は再読で、初読の際、小文を綴ったことがある:「バシュラール『水と夢』の周辺」
闇の中、懸命に蝋燭の焔を思い浮かべる。そう、魂に命を帯びさせるように。それとも、誰のものでもない、命のそこはかとない揺らめきを、せめて自分だけは見詰めてやりたい、看取ってやりたいという切なる願いだけが確かな思いなのだろうか。
きっと、魂を見詰め、見守る意志にこそ己の存在の自覚がありえるのかもしれない。風に揺れ、吹きかける息に身を捩り、心の闇の世界の数えるほどの光の微粒子を掻き集める。けれど、手にしたはずの光の粒は、握る手の平から零れ落ち、銀河宇宙の五線譜の水晶のオタマジャクシになって、輝いてくれる。星の煌きは溢れる涙の海に浮かぶ熱い切望の念。
蝋燭の焔もいつしか燃え尽きる。漆黒の闇に還る。僅かなばかりの名残の微熱も、闇の宇宙に拡散していく。それでも、きっと尽き果てた命の焔の余波は、望むと望まざるとに関わらず、姿を変えてでも生き続けるのだろう。一度、この世に生まれたものは決して消え去ることがない。あったものは、燃え尽きても、掻き消されても、踏み躙られても、押し潰されても、粉微塵に引き千切られても、輪廻し続ける。
輪廻とは、光の粒子自身には時間がないように、この世自身にも実は時間のないことの何よりの証明なのではなかろうか。だからこそ、来世では誰も彼もが再会すると信じられてきたのだろう。
(09/15 14:50)
テオフィル・ゴーチエ,ステファヌ・マラルメ,ポール・ヴァレリーら著『舞踊評論』 (クラシックス・オン・ダンス)を読みたい本登録。 (09/14 17:13)
A・C・スウィンバーン著『フロッシー』を読みたい本登録。バシュラールの本でスウィンバーンの名を久々。読んだことはないはず。何を読めばいいかわからず、とりあえず目についた本を選んだ。 (09/14 18:43)
伊藤 弥寿彦著『生命の森 明治神宮』も読みたい本登録。
マイケル・ブライト著『こうしてヒトになった 人類のおどろくべき進化の旅』や『動物たちの話し声―音声とコミュニケーションの研究』 (自然誌選書)などを読みたい本に登録。 (09/15 02:22) これらは、夜中過ぎに紀伊国屋書店に買いたい本のネット注文している際に目についた本。予約した本の総額3万円をこえた。
ネルヴァル作『火の娘たち』 (岩波文庫)…… バシュラールの「水と夢」を読んでたら本作に言及。随分前に読んだが、印象に薄い。再読したい。書庫にあるはず。 (09/14 17:08)
発作的にモノローグ風創作「昼行燈」を書いた。 (09/14 19:31)
「あれ(A.R.E.)」が巷を賑わせていますが、日焼け対策には日焼け止めクリームもいいけど、「エース…ビタミンACE」も大事。皮膚の内側で日焼けを防御。と、ラジオで聴いた。「「ビタミンACE」で夏の紫外線ダメージをリセット! | ハルメク美と健康」 (09/14 21:48)
ブルーノ・ロッシ著『物理学者ブルーノ・ロッシ自伝―X線天文学のパイオニア』 (中公新書) 30年ほど前に読んだ本。ガキの頃、物理学者になることを夢見てた。書庫で本書を発掘。ブルーノ・ロッシなんて知ってる人は少ない? 今日から再読。 (09/15 08:08)
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