光は闇を深くする
自身の肺結核と三回にわたる手術、6年間の療養生活、生涯の伴侶と決めた妻はガンで28歳で死亡。乳飲み子を抱えて何とか立ち直り、体験を物語の形で生かしていった。
「業界紙の記者であった藤沢は、不治の病に苦しむ妻の薬代かせぎのために残業し、夜遅く帰宅すると、彼女が闇の中で、しゃがみ込んでいる気配を察したことがしばしばあった」のだ。
「川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を<押し込み強盗>に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む」……謎の男・伊兵衛の押し込みの遣り口も斬新だが、小説の醍醐味は、金に目のくらんだ四人の素人たちやその女たちのそれぞれの顛末を丁寧に描いているところだろう。 (09/10 18:00)
【閑話休題】闇と光
時代(大衆)小説の類も結構読んできた。古くは吉川英治『宮本武蔵』か岡本綺堂、子母沢寛『勝海舟』、池波正太郎、村上元三『佐々木小次郎』、あの長大な山岡荘八の『徳川家康』も(歴史小説のジャンル?)文庫本だが全巻揃えて一気読みした。司馬 遼󠄁太郎『竜馬がゆく』などはマストだったような。
時代小説ファンと呼べるほどは読んでいないが、父の遺産じゃないが蔵書は大半が時代小説で書棚二つにびっしり。これらは宝の山で老いらくの楽しみに温存してある。
時代を主に江戸時代に設定することで、古き良き人情や失われた(嘗てはあった?)情緒が作家の腕次第で自在に描けるのが魅力だろう。
本書の題名は「闇の……」となっている。闇の深さは今日では都会や市街地では感じるのが難しい。しかし、我が家などは明かりは普段点けてないし、夜に帰宅すると、玄関からして真っ暗である。そこから茶の間などへ行くのは、手探り。夜中にトイレに行くのも結構恐々。闇はついそこに潜んで底知れぬ口を開けている。
和風の家の淫靡さを描いた傑作というと、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』か。一方、梶井基次郎の『闇の絵巻』は、闇の道をゆく不安と恐怖を描いて印象的。
さらに余談だが、夜街灯の乏しいかない道をヘッドライトなしで運転するのは、無謀に近い。今どきのヘッドライトはLEDの性能が抜群。対向車が高性能のヘッドライトを照射していると、眩しさに眩惑されそう。それはともかく、怖いのは曲がり角。コーナーに差し掛かると、照射されているところは眩くてありがたいのだが、その分、光の届かない左右の闇は怖いほどに深くなっている。光は闇を深くするのだ。 (09/10 18:10)
← 藤沢 周平著『新装版 闇の歯車』(講談社文庫) 「川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を<押し込み強盗>に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。」
空になったペットボトルを水筒代わりに使うのは、飲料メーカーとして好ましくない……ってのは、ある意味 当然だろう。もしそのような使い方で何らかの病的事態に至ったなら、責任を問われかねない。予め防衛線を敷くのは理解できる。
我輩はペットボトルの水筒的利用は徹底して。2リットルの茶(水)を500ccの(飲み終えて空にした)ペットボトルに小分けする。1本40円程度になる。
或いは茶葉を煮出し、冷まして500ccのペットボトルに小分けする。
仮にペットボトルを水筒代わりに使わず、ちゃんとした水筒を水筒として使うとしても、洗った空のペットボトルと同じく(主に口や蓋近辺を中心に)バクテリアや埃に汚れるのは必然であろう。
正規の水筒より空のペットボトルのほうが(構造からして)洗いやすい。実際にはペットボトルの水筒としての再利用は1度か2度。何故なら新たな空のペットボトルは次々生じてくるから。飲み終えてすぐに捨てるのは勿体ない。貧乏(性)なのである。 (09/08 11:23)
(頂いたコメントに) ペットボトルの再利用と衛生面への配慮と。実際には特に夏場は次々と空のペットボトルが生じるので、再利用と云っても1度か2度。もっと上手い再利用も有り得るのかもしれないですね。
(頂いたコメントに)今夏は異常な猛暑でした。空のペットボトルがどんどん出てくる……溜まるたびにスーパーへ資源ごみとして。ペットボトルを再利用するわけじゃないのに綺麗に水洗いし、側面のCMシールを剥がす。しかもボトルを潰して。
ここまで徹底してる人は珍しいようだ。透明な食品パックもラベルを剥がしパックを水洗い。結構な作業でストレスになってる。 (09/08 14:32)
サン ジョン ペルス作『鳥』 (りぶるどるしおる 65) ……例によってバシュラールの本で知った詩人、外交官、ノーベル賞作家。こういう本も読んでる人がいる。さすがドクメだ。 (09/08 12:17)
NHKラジオで、「Mr. Monday オリジナル・キャストの曲」を聴いた。何10年ぶり。(09/09 00:46)
「ネス」というと、我々の世代なら「ネス湖……ネッシー」の「ネス」。あるいは、「ザ・アンタッチャブル」の「エリオット・ネス」……ということで「ネス」でググって関連情報を摂取しようとしたら……上位には全く浮上しない。出てくるのは……「ネス(英: Ness)は、任天堂が発売したスーパーファミコン用コンピュータRPG『MOTHER2 ギーグの逆襲』に登場する架空の人物で、同作の主人公」……そうなんだ……でも、ネス湖から名前を借りたとか……ないか。 (09/09 13:49)
イサク・ディネセン作の『アフリカの日々』 (河出文庫)……通算3度め。実に素晴らしいエッセイ。 (09/09 20:26)
スマホ 買い換えする。8年ぶり。IDとか忘れたので、今のドクメにログインする自信がない。 (09/10 14:02)
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