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2023/06/14

眼高手高の稀有な書き手

 ← 森崎和江著『からゆきさん 異国に売られた少女たち』(朝日文庫) 「戦前の日本で、貧しさゆえに外国の娼館に売られた少女たちがいた。国外に売られ、狂死したキミ。南方で財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。綿密な取材と膨大な資料をもとに、ふたりの からゆきさん の人生を綴った傑作ノンフィクション」 

 森崎和江著の『からゆきさん 異国に売られた少女たち』を13日(火)読了。

 ノンフィクション作家の森崎和江さんが2022年6月に急逝。ということで、代表作『からゆきさん』(朝日文庫)が緊急重版となったもの。原書は1980年に朝日新聞社より刊。

 本書については、「急逝したノンフィクション作家・森崎和江の代表作『からゆきさん』を緊急重版!3日間限定の全文公開も決定!|株式会社朝日新聞出版のプレスリリース」が詳しい。

 例えば、「〈飢えて、食べものを異邦人に求めていたぶられ、刑場に消える朝鮮の女たち。飢えて、養女に出されて美服をまとい、苦界に死にゆく日本の娘たち。どちらもこのような現実のなかで、くには諸外国と交流しはじめたのである〉と、森崎は書きます。国家が個人の人生を左右すること、とりわけ女性の性を売り買いすることへの深い怒りが、そこには込められています」とある。

 

「綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿ったノンフィクションの金字塔。性暴力や人身売買で苦しむ女性たちが世界各地で未だに数多く存在する21世紀の今こそ、読まれるべき必読の書」と銘打っている。

「森崎 和江(1927年4月20日 - 2022年6月15日)は、日本の詩人、ノンフィクション作家、元放送作家」だが、一世代前のものなら聞き覚えがあるだろう。小生は、『まっくら 女坑夫からの聞き書き』(岩波文庫)などを読んだことがある。本書は初めてか。

 世に怪奇ものやらエログロものなどがあるが、現実の悲惨さ、しかも、紛れもなく人間の所業だという現実ほどに悍ましい世界が描けようはずがない。本書を手にほんの少し想像を巡らせば深甚なる実感が迫ってくるはず。

 

 ← 高橋毅一郎 著『匙かげん―閑窓夜話 随筆 (1955年)』(徳川夢声序文 佐藤弘人推薦 保健同人社) 

 高橋毅一郎(1885 - 1967) 著の『匙かげん―閑窓夜話 随筆 (1955年)』を11日(日)読了。仕事の合間の楽しみで。序文に徳川夢声。懐かしい名前だ。父の蔵書の一冊。

「東京帝国大学医科大学〔明治44年〕卒後、東京帝大皮膚科医局に入局し、そのかたわら三井慈善病院に勤務、施療患者を治療する。のち洲崎病院、玉の井、亀有診療所などに勤務、性病予防の第一線で活躍し、昭和33年の赤線廃止で第一線を退いた。また随筆面でも活躍し、著書に「ドクトル千一夜」などがある。」

 父は何故本書を手にしたのか。当時は高名だったんだろうけど。

 冒頭に著者の「口上」が。 ざっくばらんで小ネタ満載の作風が知れようから転記しておく:

 同じく人の書いたものから引っこ抜いてきても、一人から引っこ抜けば剽窃といわれる、大勢から引っこ抜けば研究といわれる、といった人がある。なるほど、引っこ抜きを集成して、『何々の研究』と題して出している人があるが、誰も剽窃とはいわない。してみると行き当たりばったり、誰のからでも遠慮会釈なし引っこ抜いて来て、『日本医事新報』の埋草にのたりつけてきたこの与太文字なんか、まさに、これ研究だな。何の研究ですって。フ、フ、まァおしまいまで読んで下さい。しぜんとお判りになりますから。

 ウラジーミル ナボコフ著の『ナボコフ短篇全集〈1〉』を昨日から。素晴らしい短編の数々。ナボコフならでは。 (06/13 19:17)

 

 ヘンリー・ジェイ・プリスビロー著の『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』を相変わらず。

「実のところ、麻酔科医は何をしているのか」幾度も手術……麻酔必須……の体験がある……が、麻酔科医がどれほど専門的知識と技術を駆使しているか知らなかった。まして著者は小児科医。小児に麻酔をさせる手管は実際の医療行為以上に見ものだったりする。時にゴリラの子供の麻酔を頼まれたことも。医学の域を超えて読み応えある。手にして良かった……と云いつつ未だ半ば。ゆっくりじっくり。 素晴らしい本。 (06/14 14:31)

 

 ← 昨日、富山県埋蔵文化財センターへ。富山県の埋蔵物を観てきた。縄文式土器なども。我輩の縄文体験は、なんといっても長岡駅構内に展示されてる火焔式土器。東京在住だった時代、最初の何年かの冬は長岡駅乗換え。構内で駅ソバを食べるのが楽しみだった。笹団子を土産に買い、この迫力ある土器を眺める。当時は新潟(長岡)がこうした土器のメッカとは知らなかった。芸術性とか文化とかより、土俗なるものの迫力に圧倒されていた。土と焔と命。 (06/14 14:53)

 耳毛がこそばゆい。なんで、右側だけくすぐったい? 右側だけ伸びる? 鋏で切ろうと何度もトライ。ダメだ……

 

 昨日 蜂に刺された右腕の腹。腫れてる。……正直、昨夜はアナフィラキシーショックが見舞うんじゃないかと怯えてた。今のところ生存してる。 (06/14 15:10)

 

 この数年(?)目立つ送料無料に腹が立つ。配達員をバカにしてる。末端のエッセンシャルワーカーにしわ寄せ。胴元だけが肥え太る。(06/14 15:16)

 トラックドライバー、タクシーやバスドライバー、介護員、看護士、保育士、教師、今話題のトイレ清掃員、etc.……。人やモノに直に接し扱い処理する人々。エッセンシャルワーカーなんて美名だけは賜って、その実 地味で過剰な労働に劣悪且つ低隸なままに放置する。

 宅配や特に翌日乃至即日配達なら特別料金が筋ですね。コンビニ受取りは便利かな。 (06/14 17:44)

 

 ← 伐採した枝葉が山盛り。納屋にもいっぱい。棄てるにも手間と経費。薪ストーブを考えるか: 「鈴鹿で里山&古民家再生 | サステイナブル(持続可能)な生活を目指して」 松葉が焚き付けにいいとは初耳。 (06/14 16:31)

 今日は雨がちの一日。できれば少しは庭仕事したかったが、ま、読書三昧もたまにはいいか。お蔭で、ヘンリー・ジェイ・プリスビロー著の『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』を読了できてしまった。もっとゆっくり読みたかったのだが。

 ウラジーミル・ナボコフ作の『ナボコフ短篇全集〈1〉』を昨日から読み出している。まだ数十頁だが、どの短編も素晴らしい。『ロリータ』の作家だが、優れた評論家でもある。眼高手低の評論家ならいくらでもいる。作家としてなら優れている方も。が、ナボコフは、こんな言葉はないと思うが、眼高手高の稀有な書き手なのである。

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