腫れを気にして終日過ごす
← ヘンリー・ジェイ・プリスビロー著『意識と感覚のない世界 実のところ、麻酔科医は何をしているのか』(小田嶋由美子訳 勝間田敬弘:監修 みすず書房) 「今日では、麻酔は脳や心臓の手術から虫歯の治療にいたるまで、医療現場になくてはならないものになった。しかし、発見から170年以上が経ったいまでも、麻酔薬が私たちに作用するメカニズムは多くの謎に包まれたままなのだ。」
今日14日(水)は、午前一時だけ上がったが、ほぼ終日の雨。庭仕事をやりたかったが、生憎の天気を口実に読書とブログ日記三昧。あとは、13日(火)に庭木の剪定の際にハチに刺されたその腫れを気にして過ごす羽目になった。さっさと皮膚科医院に駆け込むべきだったか。
下記するプリスビローの本に代わって、父の蔵書から斐太 猪之介著の「炉辺動物記」を読み出した。…その布陣の豪華さに驚いた。装幀は、恩地孝四郎、カバーカットは初山滋! 70年近く前の本だが、本文もなかなか読ませるし、掘り出し物かもしれない。あるいは復刊の値打ちがあるかもしれない。
ヘンリー・ジェイ・プリスビロー著の『意識と感覚のない世界 実のところ、麻酔科医は何をしているのか』を14日(水)に読了。 本書を手にしたのは、自身、部分はもちろん全身麻酔も幾度となく体験してきたからだ。麻酔明けの猛烈な吐き気もそのたびに。その際の看護師の冷淡な対応…。
素人の自分には身を麻酔医に限らず医師や看護師に任せるしかない。麻酔の何も知らないのに。信頼? 開き直りに近いかもしれない。麻酔医と簡単な話と手術の了解書面を書くだけのコンタクト。というか了解書は看護師が渡してきたからあっさりサインした…。
「2012年、権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』は、その200年の歴史において掲載した論文のなかから、もっとも重要な一本を選ぶ読者投票を行った。X線写真や抗生物質の発見など、その後のあらゆる画期的な進歩に関する論文を抑えて読者が選んだ「栄えあるベストワン」は、1846年に掲載されたエーテル吸入による初めての無痛手術についての論文であった」なんてことが「はじめに」にて紹介されている。
「今日では、麻酔は脳や心臓の手術から虫歯の治療にいたるまで、医療現場になくてはならないものになった。しかし、発見から170年以上が経ったいまでも、麻酔薬が私たちに作用するメカニズムは多くの謎に包まれたままなのだ」とも率直に述べている。
そう、本書は、「メスで身体を切り刻まれているあいだ、痛みを感じないのはなぜなのか? 手術のあと、何事もなかったように目を覚ますことができるのはなぜなのか? 3万回以上の処置を行ってきた麻酔科医が、麻酔薬の歴史から麻酔科医の日常までを描く、謎めいた医療技術をめぐるノンフィクション」なのである。
高度に専門的なことも書いてあるが、ある意味、一番この麻酔医が気を使っているのは、麻酔される患者とのコンタクト。まして下記するように、著者は「小児科を専門とし、年間1000人以上の子どもに麻酔処置を行っている」その意味でのエキスパート。子供や親御さんとのやり取りが実に感動的ですらある。
著者略歴:「シカゴ在住。ノースウェスタン大学医学部麻酔科准教授。麻酔科医として軍医を務め、現在は小児科を専門とし、年間1000人以上の子どもに麻酔処置を行っている。また、ガウチャー大学においてクリエイティブ・ノンフィクションのMFAを取得している。」
監修の勝間田敬弘氏の略歴:「大阪医科大学外科学講座胸部外科学教室教授。心臓血管外科専門医。金沢大学医学部卒業。東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器外科、英国ジョンラドクリフ病院心臓外科(1996-2000)などを経て現職。7000例を超える心臓血管外科手術に携わる。監修書にウェスタビー『鼓動が止まるとき』(みすず書房 2018)がある。」
実体験に即したノンフィクションで、読みやすい。麻酔の医学的探究の本ではない。手術で麻酔が必要となりそうなお子さんのいる親御さんには特にお勧め。日本にもこんな麻酔医がいるのだろうか、知りたいものだ。
← 夜半に読み始めた斐太 猪之介著の「炉辺動物記」 (1955年)のカバーカット初山滋の作品。ということで、初山滋を調べてみた。ちなみに『炉辺動物記』の装幀は、恩地孝四郎! なんと豪華な布陣。「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢 | 展覧会 - 世界初の絵本美術館|ちひろ美術館・東京」
斐太 猪之介著『炉辺動物記 (1955年)』いまナボコフ短編集を読んでる。文系と理系を同時並行して読むってのが我が読書方針。が、未読の理系本がなくなった。さあ困った。本書、辛うじて理系本と看做すことにする。父の蔵書から。
斐太 猪之介(ヒダ イノスケ)昭和期の新聞記者,小説家。(明治44(1911)年7月26日-昭和54(1979)年3月16日) 出生地岐阜県斐太 本名井之丸 喜久蔵 学歴など:中央大学法科卒。朝日新聞社に入社し、そのかたわら小説を書きニホンオオカミ追跡譚「オオカミ追跡十八年」を昭和45年に刊行。その他の作品に「山がたり」全3巻などがある。 (06/14 22:45)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 竹にまつわるエトセトラ(2024.12.12)
- 生け垣の補修はしたものの(2024.10.01)
- そんなことすらわかっていなかった!(2024.07.24)
- 緑茶にほうじ茶に昆布茶まで(2024.07.22)
- あの住職が急死!(2024.06.03)
「書評エッセイ」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 久々家の中で焚き火(2025.01.30)
- 寝不足気味の日々(2025.01.28)
「科学一般」カテゴリの記事
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
- 日本の常識は世界の非常識(2025.01.23)
- 庭仕事を頑張った褒美に入浴(2025.01.06)
- 元旦から四日連続仕事(2025.01.05)
「社会一般」カテゴリの記事
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
- 政権が変わった影響?(2025.01.31)
「恋愛・心と体」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
「読書メーター」カテゴリの記事
- ナボコフからクンデラへ(2025.02.07)
- 耐震シェルター欲しい!(2025.02.06)
- 「寿司といえば、富山」(2025.02.04)
- あなたを・もっと・知りたくて(2025.02.03)
- 夢で目覚める日々(2025.02.02)
コメント