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2023/06/05

週に五回ほど。以前は二回ほどか

 ← スティーヴン・グリーンブラット 著『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(河野 純治 訳 池上俊一解説 柏書房) 「15世紀のイタリアのブックハンター ポッジョ・ブラッチョリーニが再発見した、写本をめぐる壮大な歴史物語。ローマ教皇ヨハネス23世の下で、秘書官・書記として仕えていたポッジョは、(中略)そして、そこで紀元前1Cの詩人ルクレティウスの『物の本質について』を発見する。」

 昨日は不意に思い立って眼鏡店へ。サングラスと老眼鏡を買った。老眼の度も進行してるが、日中、自転車やバイクで走行すると、日差しに負けそう。来年はもう70歳なのだ。体を目を労わらないと。

 店員は吾輩の身なりを観てか、特に営業トークをすることもなく、出来合いの商品を選ぶがままに。

 それでも二つでびっくりするような値段。

 昨日の休日は、眼鏡店などの買い物以外は外出せず。庭仕事も30分ほどだけ。居眠りと読書に終始。その割に読書は進まない。それでも、スティーヴン・グリーンブラット 著の『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』は読了したし、H・P・ラヴクラフト作の『インスマスの影 :クトゥルー神話傑作選』も明日には読了の見込み。

 余談だが、トイレ、大の方は週に五回ほど。以前は二回ほどか。五回でも毎日のように感じて慌ただしい。でも、出した瞬間の体の軽さ!

 

 スティーヴン・グリーンブラット 著の『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(河野 純治 訳 柏書房)を5日(月)未明に読了。一週間ほどで。考えさせるネタは多いし、それなりに専門性の高い内容もあるが、読みやすく面白かった。

 本書は、「15世紀のイタリアのブックハンター ポッジョ・ブラッチョリーニが再発見した、写本をめぐる壮大な歴史物語。ローマ教皇ヨハネス23世の下で、秘書官・書記として仕えていたポッジョは、(中略)そして、そこで紀元前1Cの詩人ルクレティウスの『物の本質について』を発見する」物語。

紀元前50年頃に書かれた、魅惑的で同時に危険な詩は、エピクロス派の思想を元にした人間中心の賛歌だった。(中略)ポッジョはこの書物を広めることを決意する。古典を見つけ、それを再び広めたことが、その後の芸術家、科学者たちによって、ルネサンスが起こるきっかけとなっていく……。(後略)」

 今の我々は遠くはレウキッポスやデモクリトス、その後のエピクロスやルクレティウスの思想はある意味の常識になっている。全てのものは原子から成り立っている。原子の離合集散が人間に限らず自然の全てを成す。問題は魂とか永遠とかもそうだと言い切るところに中世の異端審問の一番危険視するところ。キリストの権威…教会の権威など失墜する可能性を孕むからだ。

 エピクロス(その思想を詩文表現したルクレティウス)の(トレント公会議以来の)キリスト教社会を破壊しかねない思想の切っ先は、ダムを決壊させる一穴だった…。

 登場人物が綺羅星。エピクロスやルクレティウスはもちろん、キケロ、トマス・モア、モンテーニュ、ガリレオ、ニュートン、フス、サヴォナローラ、シェイクスピア、ジョルダーノ・ブルーノ、ラファエロ、フランシス・ベーコン、トマス・アクィナス、コペルニクス、ジェファーソン…。

 著者はシェイクスピア学者。だからか15世紀から17世紀のヨーロッパ社会の動向に詳しい。教皇(庁)の卑劣さ狡猾さ無慈悲さ。複雑な商取引、異端狩り、脅迫、ペテン、二枚舌、淫乱の溢れる綴じた社会。頽廃した高位聖職者の乱行ぶりがこれでもかと描かれ、それはそれで好奇心をやたらと煽って楽しめた(?)

「ローマ・カトリック教会という罪人の巣窟。なのに、一般の信徒には、キリスト教教義に抵触する自由な議論や許さず、かえってキリスト自身の教え・福音書の精神に忠実な者を、異端として容赦なく火炙りに…」

 ブックハンターのポッジョはそんな社会を生き抜きながら、これはという埋もれた書物を探し世に示そうとする。一旦、影ながらでも表に浮上したからには、書写され徐々に広まっていき、少なからぬ思想家政治家の信念を醸成し補強する。あのジェファーソン大統領も「私はエピクロス主義者である」と。

 吾輩は、嘗てエッセイ「臆の夢」「ディープ・スペース(1)」などでそれらしいことを書いたことがある。

 

 

 スティーヴン・グリーンブラット著の『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』を読んでいて、トーマス・ハリオットを知った。彼(1560年頃 - 1621年)は、「イギリスの天文学者・占星術師・数学者である。数学・天文学に先駆的な業績をあげたが、著書を残すことが少なく後世に大きな名声を残すことはなかった。」

 ガリレオ、デカルトらに先んずる数学や物理学の功績がある。近年になって未発表論文の中から発見された。イングランド最大の望遠鏡を建設。月面スケッチ。太陽黒点観測。惑星の衛星観察etc. ブルーノはハリオットと面識。 (06/04 22:52)

 上掲書を読んでて、ジョルダーノ・ブルーノへの関心を喚起され、調べてて『聖灰日の晩餐』 (ジョルダーノ・ブルーノ著作集)を知った。

「1583年から2年半に渡る英国滞在時代、招かれた晩餐会で地動説を擁護する自論を語ったブルーノは、伝統的天文学を支持するイギリス人博士らと論争となった。この晩餐会で繰り広げられた地動説の解釈や聖書の記述内容との矛盾をめぐる論争を通してブルーノは、コペルニクスとも異なった独自の「宇宙の無限性」を考察するに至った――。五つの哲学論議の中に、イギリスに対する揶揄など喜劇的なやり取りが巧みに組み込まれた、ブルーノ英国時代の傑作!」

 いま読んでるスティーヴン・グリーンブラットの「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」にてブルーノの言行が紹介されてる。改めてブルーノの偉大さを認識。有名な主著以外も読みたくなった。 (06/04 22:22)

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