声掛け自体初めて
← 全卓樹 著『銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異』(朝日出版社)「流れ星はどこから来る?宇宙の中心にすまうブラックホール、真空の発見、じゃんけん必勝法と民主主義の数理、世論を決めるのは17%の少数者?忘れられた夢を見る技術、反乱を起こす奴隷アリ、銀河を渡る蝶、理論物理学者、とっておきの22話。」
今日は休日……晴れ。絶好の外出日和り。だけど、吾輩には庭仕事日和。午後の4時に作業開始。スタートが遅いのは、作業を日没で終えるため。そうしないと、止めどなくやっちゃう性分なのである。
表の庭に始まって、車道沿いのドブ浚いや草むしり。近所の観音堂も草むしり。祭りの時以外、誰も世話しない。草茫々じゃ可哀想。トングや剪定鋏(大き目)を使って。三時間弱のハードな作業。
作業着、帽子、手袋、長靴、マスクと本格的な格好での作業は今年初めてか。疲れた。空腹なままシャワーを浴び、スッキリして夕食。食後は、自宅では今年初めてとなる冷たいお茶。 (04/13 21:02)
帰郷して15年。観音堂の草むしりをずっとやってきた…年に三回から四回くらい。昨日、初めて観音堂の隣家の方から声掛けされた。というか、そもそも近所の方からの声掛け自体初めてなのである。 (04/14 02:50)
全卓樹 著の『銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異』を13日(木)に読了。自転車用ヘルメットを買いにショッピングセンターに行った際、立ち寄った書店にて発見。世評の高い本らしいが、店頭で初めて手にして読むに値すると直感。同じ著者の『渡り鳥たちが語る科学夜話』と併せ購入した。選択眼に間違いはなかった。
本書は科学エッセイ集であり、著者自ら語るように科学奇譚集だ。一般向けサイエンス書は数学も含め大好物の小生だが、著者の前書きの言葉にあるように「一般にあまり流通していない話題」の数々であり、「読者諸氏にもきっと発見がある」ものだった。
ブログでは既に少しメモったが、初耳の話題が少なからず。既知の話題もあったが、改めて味わい返したり、我輩には楽しいエッセイ集だった。一緒に買った『渡り鳥たちが語る科学夜話』を読むのが楽しみである。
著者の全卓樹(ぜん・たくじゅ)の経歴:「京都生まれの東京育ち、米国ワシントンが第三の故郷。東京大学理学部物理学科卒、東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了、博士論文は原子核反応の微視的理論についての研究。専攻は量子力学、数理物理学、社会物理学。量子グラフ理論本舗/新奇量子ホロノミ理論本家。ジョージア大、メリランド大、法政大等を経て、現在高知工科大学理論物理学教授。著書に『エキゾティックな量子――不可思議だけど意外に近しい量子のお話』(東京大学出版会)などがある。」
なるほど、著書に『エキゾティックな量子――不可思議だけど意外に近しい量子のお話』がある。これも手を出すしかあるまい。
← 斎藤 幸平著『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』(KADOKAWA)「うちに閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法である。だから、現場に行かなければならない。」
斎藤幸平著の『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』を11日(火)に読了。『大洪水の前に』『人新世の「資本論」』『ゼロからの『資本論』』に続くもので、著者の本は4冊目。最早ファンか? 『大洪水の前に』を刊行された直後に読んだ際は、未知の書き手…学者だったはず。書店で見付け直感で買った。結構、手こずった記憶がある。
一作ごとに読みやすくなっている印象がある。吾輩のような一般読者を意識しているのだろう。本書は、一層、読者目線を目指したか。「うちに閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法である。だから、現場に行かなければならない」と、「学び、変わる 未来のために あとがきに代えて」にあるが、志はそうだったのだろう。
その健気な姿勢は良しとしないといけない。だが、現場を知るには長年携わる必要がある。吾輩はタクシードライバーである。当然ながらタクシー関連の本は目についたものは読んできた。しかし、一冊として納得できるものはなかった。
業界外から体験のためだったり、生活のために飛び込み、半年かせいぜい一年<体験>して、さも分かったようなことを書く。何を分かったような生意気な、ってのが率直な感想。最低でも十年体験しないと分かるはずがない。言葉にもできない。かく言う自分にしても、業界やタクシードライバーのことをどれほど分かっているか覚束ない。
ウーバー体験など学者による体当たりの(?)実体験のドキュメントとして、それなりに面白いし、健気だが、いざそこからくみ上げるべき当該業界の問題の解決策となると、現実の壁の分厚さに圧倒され、答えらしきものは見いだせない(← 当然か)。
現場を肌で知りたいという姿勢は買うが、学者には学者の現場があるのではなかろうか。本書は読むほどに尻すぼみの感が否めなかったというのが正直な感想である。
← チェーホフ/著『チェーホフ・ユモレスカ 傑作短編集I』(松下裕/訳 新潮文庫) 「笑いと哀しみの結晶65編。ロシア最高の短編作家によるショートショート。本邦初訳を含め、すべて新訳!」
チェーホフ作の『チェーホフ・ユモレスカ 傑作短編集I』を10日(月)に読了。さすがのチェーホフ。こんな短編集を今頃になって気づくとは我ながら情けない。チェーホフの半世紀以上のファンなのに。読書メーターを利用していて、誰かの感想で本書の存在に気が付いた。
出版社の宣伝文句によると、「笑いと哀しみの結晶65編。ロシア最高の短編作家によるショートショート。本邦初訳を含め、すべて新訳!」である。つまり、少なくともかなりの掌編は吾輩は未読だということだ。370頁の訳書に65編の掌編。
かりに名前を付されて店頭にあったら、手にしなかった…手にしても何だこりゃだったかもしれない。じっくり読めばチェーホフ以外の何物でもないと気づくだろうが。
だが、半世紀に渡るファン。『桜の園』『三人姉妹』『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『かわいい女』『犬を連れた奥さん』などの小説に限らず繰り返し楽しんできた。『黒衣の僧』は傑作。いい意味でのチェーホフの未熟かもしれないが、チェーホフらしさ全開の初期の作風がファンならではの贔屓もあってか楽しめる。
チェーホフは医者だった。だからこそ、医者ならではの世情通の側面もある。だけど、そこはチェーホフだ。兄がいるのに、家は破産してカネに苦労する。生活の苦労を一手に引き受ける。世俗の裏側に接する機会も多かったに違いない。書きなぐったわけじゃないだろうが、初期のチェーホフの超短編が数百篇もある。生涯で千篇も。忙しさは想像を絶していただろうに、出版社(編集者)に急かされ叱咤されて書きまくったわけである。
だけど、チェーホフは作家たること、表現者たることを常に意識してきた。作家としての自覚を強く持続させた。若いころに某老作家に文才を浪費するものだという忠告を受けたことも転機になったとか。その忠告をしっかり受け止めた。
その辺りも含めて訳者の解題が非常に参考になる。蜂飼耳による解説も付されている。本書は、『チェーホフ・ユモレスカ 傑作短編集I』。つまりⅡがある! なんてありがたいことだろう!
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