「かたはらいたし」が気になって
①きまりが悪い。気恥ずかしい。▽自分の言動を、そばにいる人がどう思うかと強く意識される気持ち。 ②腹立たしい。苦々しい。みっともない。▽他人の言動を、自分がそばで見聞きして気に入らないと思っているときの気持ち。
どうやら我輩は、「片腹痛い」だと思い込んでた。違うらしい。正しくは、「傍ら痛し」。
そうか、傍にいての痛い思いなんだ。分かったような……? (03/12 20:56)
← ホルへ・ルイス・ボルヘス『ラテンアメリカの文学 砂の本』(篠田 一士訳 集英社文庫) 「南米の知の巨人、ボルヘスの知性、ウィットとさまざまな顔が楽しめる短篇集。」
ホルへ・ルイス・ボルヘスの『ラテンアメリカの文学 砂の本』を3月9日(木)に主に車中で読み、残り僅かを自宅で読了。
過日、安部公房の『砂の女』を久しぶりに読み、その色褪せぬ先端ぶりの傑作を堪能。で、「砂」をキーワードにあれこれ文献を渉猟。その中で、この作品を今更ながらに発見。短編集だった。ボルヘス作品も久しぶり。表題作は、「本からページが湧き出すような無限の本“砂の本”のとりこになって謎を解き明かそうとした男はやがて恐怖を抱き…」というもの。
本書の前半は短編集で、後半は「汚辱の世界史」となっていて、いろんな文献を基にした作品集。中には、「不作法な式部官 吉良上野介」なる作品がった。
意外だったのは、ある翻訳者の本をネタにした小説(?)なのだが、ボルヘス曰く「日本語からじかに訳していることを納得」ということで、恐らくは『実録忠臣蔵』からの忠実な訳らしい。「正義として人の胸をうつ」なんて文言がボルヘスから聞けたこと。びっくりだった。
← 姜信子著『語りと祈り』(みすず書房) 「説経、山伏祭文、貝祭文、説経祭文、瞽女唄、浄瑠璃、浪曲、パンソリ……、「語り」の声に耳澄まし、失われた声を追い、名残の声に引かれて、足尾銅山、水俣、八重山諸島、済州島をゆく。来るべき「声」の場、そして反旗を翻す詩の可能性を眼差して。」
姜信子著の『語りと祈り』(みすず書房)を12日(日)の未明に読了。3月11日の読了を目指していたのだが、ま、11日の夜半過ぎなのでギリギリ間に合った? 表題にあるように、祈りの書でありその意味での語りの書なのである。過日、「本書のテーマもだが、なんと云っても表紙の斎藤真一の絵の力が手にした上での動機になっている」と日記に書いた。
そのテーマとは、「説経、山伏祭文、貝祭文、説経祭文、瞽女唄、浄瑠璃、浪曲、パンソリ……、「語り」の声に耳澄まし、失われた声を追い、名残の声に引かれて、足尾銅山、水俣、八重山諸島、済州島をゆく。来るべき「声」の場、そして反旗を翻す詩の可能性を眼差して」である。福島原発事故の解決など程遠い現況なのに(恐らく数十年でも済まないだろう)、政府は早々と原発政策を後退させてしまった。現に生きる…犠牲になった人々のことなど国や企業は(あるいは多くの国民は)頓着などしないのである。
小野不由美に『残穢(ざんえ) 』(新潮文庫)という作品がある。その感想としてというわけじゃないが、以下のように書いた:
縄文の昔からの歴史の、あるいは歴史にならない歳月の積み重ねがあるわけで、当然、人や動物などの生き死にが、死屍累々たる闇の堆積があるに違いないのである。そんな歳月も、アスファルトやコンクリートの固い石棺に埋められ忘れ去られたのだろうし、その舗装された道をわれわれは今の日常を慌ただしく生きていく。 怨念だけじゃない、喜びも悲しみも退屈も切迫も、汗も涙も血も溜め息もその土地土地に流れ溢れ零れ消滅していった、それは間違いないのだろう。
著者の姜信子(きょう・のぶこ/カン・シンジャ)について。「1961年横浜生まれ。作家。路傍の声に耳傾けて読む書く歌う旅をする日々を重ねてきた。近年は「口先案内人」と称して、歌や語りの芸能者と共に小さな「語りの場/声が解き放たれる乱場」を開く試みも。」著書多数なのだが、韓国(朝鮮)の本の日本語訳本も少なからずある。
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